2第1章 衛生委員会等Ⅰ│衛生委員会とは1 衛生委員会の法的位置づけ労働者の健康管理に関する事柄,特に事業者(会社)が行うべき活動については,主として労働安全衛生法(以下,「安衛法」と表記)およびその関係法令によって規定されています.安衛法は,1972年に労働基準法から分離独立した法律で,具体的な事項は労働安全衛生規則(以下,「安衛則」と表記)などに記されています.衛生委員会は,この安衛法および安衛則で,労働者数50人以上の事業場において,月1回の開催が義務づけられています.目的は,労働者の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策などについて調査審議をすることに置かれています.あくまで調査審議であり,決定をする場ではありません.(決定をし,それに責任をもつのは事業者ということになります.)取り扱われるべき事項も規定されており,その中には,2005年の安衛法の改正により,「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」が加えられています(表1-1).衛生委員会の設置義務がない小規模の事業場でも,衛生に関する事項について,関係労働者の意見を聴くための機会を設けることが,やはり安衛法で規定されています.大企業においては,小規模事業場でも,全社的な決定事項を伝第1部必須編Key Point●衛生委員会は,労働者数50人以上の事業場で月1回の開催が義務づけられており,メンタルヘルス対策の推進のためにも,有効活用すべき場である.●衛生委員会で取り扱うことにより,メンタルヘルス対策を事業場全体で取り組む課題とすることができる.●衛生委員会が効果的に機能していない事業場では,メンタルヘルスの問題を扱うことで,逆にそれを活性化することもできる.●時間的な制約により,衛生委員会での審議が難しければ,ワーキンググループを設けることも考慮してよい.
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