2490職場のメンタルヘルスハンドブック
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11第2章 職場巡視Ⅰ│職場巡視の法的位置づけと意義1 職場巡視の法的位置づけ職場巡視が重要な意義をもつことは,産業保健の特徴のひとつと言えましょう.衛生管理者には週1回,産業医には月1回の職場巡視が義務づけられています.衛生管理者の職場巡視については,安衛則第11条で,「少なくとも毎週一回作業場等を巡視し,設備,作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは,直ちに,労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない.」「2 事業者は,衛生管理者に対し,衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない.」とされています.産業医による巡視は,安衛則第15条で「少なくとも毎月一回作業場等を巡視し,作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは,直ちに,労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない.」とされています.現在は,条件付きで2か月に1回とすることも認められています.この変更が行われた際,回数の緩和ばかりが注目されましたが,回数を減らすためには,事業者の同意を得たうえで(産業医の判断だけでは認められません),「衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果」,「その他衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの」が,毎月1回産業医に報告されなければなりません.これは,いわゆる事務職場においても当てはまります.第1部必須編Key Point●職場巡視は,視点を変えることによって,メンタルヘルス対策にも有用な情報を得る場になる.●定点観察,異なった週,曜日,時間帯の巡視,巡視現場での聴き取りなどの工夫が望まれる.●産業医や産業看護職の「顔を覚えてもらう」ことで,健康管理部署と現場との距離感を低減する効果も期待できる.

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