読み解くためのKeyword41解答第3章 機能性構音障害の臨床語音弁別検査 語音弁別は,外的弁別と内的弁別の2つがある。外的弁別とは,他者の発話と自分の発話の違いを弁別するものであり,内的弁別とは自分の中(音韻)での弁別である1)。自分の音声を録音したものを語音弁別の検査として用いる場合,いったん表出されたものと考えられるため自分の音声であっても外的弁別となる。また,内的弁別は自分の中での弁別であり主観的評価となるため,客観的な評価として用いることが困難である。したがって,臨床現場では音韻の検査として外的弁別がおもに行われていることが多い。語音弁別検査は,聴覚障害の検査としても用いられる。その際には「語音明瞭度」として,パーセント(%)で表される。音韻認識検査 音韻認識とは,口頭表出された音声言語ではなく,頭の中の音の構造を理解する能力である。したがって,ことばの意味を理解する能力とは異なる。音韻認識は,ひとつの能力ではなくさまざまな能力が併合したものと考えられるため,音韻分解課題,音韻抽出課題,音韻の同定課題,語の逆唱課題,モーラ削除課題など複数の課題が検査として用いられる。表に音韻認識検査の各課題を示す。●音韻認識検査課題項目説 明音韻分解単語のまとまりを1音ずつに分けることができる能力である例)「りんご」 → 「り」「ん」「ご」に分ける音韻抽出単語の中から目標の音を選択することができる能力である例)目標音「ん」 → 「りんご」から「ん」を取り出す音韻の同定目標音が単語の中のどこにあるかを判断する能力である例)目標音「ん」 → 「りんご」であれば,前から2番目にある語の逆唱単語を逆から答える能力である例)「りんご」 → 「ごんり」と答えることができるモーラ削除単語の中から目標語を抜くとどうなるか答える能力である例)「りんご」から「ん」を抜く → 「り ご」と答えることができる言語検査・知能検査 構音の問題には,言語機能の遅れが要因の場合がある。正常発達の場合,初語の出現はおおむね10か月~1歳頃と考えられる。しかし,発達には個人差があり,ことばの遅れが生じていたとしても3歳頃に急激に発話ができるようになる子どももいる。2~3歳で生活年齢に比べて,ことばの遅れがある場合,言語発達障害というより言語発達遅滞(Lレイトate Tトーカーalker)とよばれる。そのような場合,子ども自身から情報を聴取することは困難であるため,養育者(保護者)からの聴取が中心となる。また,言語理解の検査として絵画語彙発達検査(PVT-R)や言語機能全般の検査として国リハ式<S-S法>言語発達遅滞検査などの言語検査や,WPPSIやWISC,田中ビネーなどの知能検査を実施し,言語発達に問題がないかを確認することもある。1 ①聴覚障害,②音韻,③外的,④内的2 ⑤音声言語,⑥頭の中,⑦音韻分解,⑧音韻抽出,⑨音韻の同定,⑩語の逆唱,⑪モーラ削除(⑦~⑪は順不同)3 ⑫言語発達遅滞(Late Talker;レイトトーカー),⑬絵画語彙発達検査(PVT-R),⑭国リハ式
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