読み解くためのKeyword33解答第2章 聴覚障害の基礎1 ①50,②症候,③非症候,④常染色体優性,⑤常染色体劣性,⑥GJB2,⑦25,⑧SLC26A4,⑨ペンドレッド,⑩CDH23,⑪アッシャー2 ⑫2012,⑬進行性,⑭合併症,⑮治療,⑯ミトコンドリアDNA3243,⑰遺伝カウンセリング遺伝性難聴 先天性難聴の約50%は遺伝性難聴であるという報告が多数ある。また,難聴以外の症状を伴う症候性難聴と難聴以外に症状がない非症候性難聴に分けられ,非症候性難聴が約70%である。さらに,遺伝形式によって常染色体優性遺伝(20〜30%),常染色体劣性遺伝(60〜70%),X連鎖性遺伝あるいはミトコンドリア遺伝(ごく一部)に分けられる1)。 特に非症候性の劣性遺伝で生じる難聴について述べる。●遺伝形式における難聴症候性非症候性常染色体優性遺伝トリーチャー・コリンズ症候群ファン・デル・ヘーベ症候群ワールデンブルグ症候群鰓耳腎(branchio-oto-renal:BOR)症候群KCNQ4遺伝子変異WFS1遺伝子変異常染色体劣性遺伝ペンドレッド症候群アッシャー症候群ピエール・ロバン症候群GJB2遺伝子変異SLC26A4遺伝子変異CDH23遺伝子変異ミトコンドリア遺伝ミトコンドリアDNA3243変異ミトコンドリアDNA1555変異GJB2遺伝子変異による難聴 先天性感音難聴のなかで最も高頻度(日本人では約25%)で検出される原因遺伝子であり2),難聴の程度は軽度から重度までさまざまである。非進行性であり,聴力型は,水平型あるいは高音漸傾型である。SLC26A4遺伝子変異による難聴 前庭水管拡大を伴う非症候性難聴や,難聴に甲状腺腫を伴うペンドレッド症候群の原因であることが報告されている2)。難聴は,中等度から重度の高音障害型感音難聴を認め,進行性,変動性の経過を呈する。CDH23遺伝子変異による難聴 常染色体劣性遺伝で,非症候性難聴,網膜色素変性症を伴うアッシャー症候群の原因遺伝子である。先天性あるいは遅発性の進行性難聴を呈することが報告されており,なかには50代発症のケースもある。高音漸傾型難聴が多い。遺伝子診断 難聴の原因遺伝子であるGJB2遺伝子変異が1997年に発見されて以来,難聴の遺伝子研究が積極的に進められ,2012年4月からは保険診療として臨床現場で実施できるようになった3)。遺伝子診断を行うことによって,難聴の進行性の予測,合併症の推測,治療の選択などに役立つ。また,難聴児の両親が,つぎに妊娠する子に難聴が生じる確率を知りたい場合に遺伝子情報を知ることで遺伝カウンセリングをより的確に行うことができる。
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