2508プライマリ・ケアに活かすがん在宅緩和ケア
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Cさんは膀胱留置カテーテルを挿入した後は安心して水が飲めた X Dr. : むしろ入院で体力は低下するので,Cさんはとにかく早く帰りたかったのでしょう.自 分でトイレに行けないので,お水を飲むのも我慢していたから膀胱留置カテーテルを挿入した後は,安心してお水が飲めるようになったと思います. 大岩 : 実は訪問看護師がトイレに付き添ったことが1度ありました.そのときは少し立ち上が り動作を介助するだけでスムースだったのです.患者が女性で介護者が男性の場合には難しい場合があります. X Dr. : 家族でもですか? 大岩 : 配偶者でも難しい場合があります. X Dr. : 家族が患者に介護を拒まれてしまうのは辛いですね. 大岩 : 家族だから言えないこともあります.患者は嫌なことに対して“痛い”と表現することもあります.嫌なことを嫌だとはなかなか言えません.確かに痛みもあるし,嫌なときや不愉快なときに無意識に“痛い”と表現することがあります. X Dr. : 患者から息が苦しくなると言われると酸素吸入が必要なのではないかと考えますが,Cさんはどうだったのでしょうか? 大岩 : Cさんは,「息が苦しくなるわね,それより喉が渇く」と話されました.その後も息苦しさが問題になることはありませんでした.医療者が心配しすぎないことです.HINT事例3から 膀胱留置カテーテルについて膀胱留置カテーテルの挿入を医療側から勧めるのは,ちょっと勇気が必要です.患者によっては,カテーテルの挿入をきっかけに痛みが増強することもあります.とくに男性の場合は慎重な判断が必要です.膀胱留置カテーテルは麻痺や血尿による尿閉でなければ勧めません.カテーテルの留置は患者の自由な動きを妨げるので,カテーテルを留置する場合は尿バッグを連結せずにカテーテルキャップを使うなどして患者の自由度を下げない工夫が必要です.Cさんのように膀胱留置カテーテルのメリットがあり,患者が充分に納得している場合には有効です.10

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