2513夜尿症診療ガイドライン2021
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総論1 ― 5睡眠から覚醒する能力に問題がなければ,夜間に起きてトイレに行くことで夜尿は回避できる(図1).補助的な要因としては,発達の遅れ,遺伝的素因などがあげられる17).睡眠から覚醒する能力 NE患者は起こしても覚醒しにくいという報告がある18,19).また,音刺激による覚醒の検討では,NE患者は覚醒閾値(arousal threshold)が高いことが示されている19).覚醒閾値の上昇とは,小児のNE患者がよく眠ることを意味するものではない.小児のNE患者の睡眠の質が悪いという報告がある20,21).一方,週5日以上の夜尿がある治療抵抗性の患者では,頻回に大脳皮質の覚醒はあるものの起きることができず,対照群と比べてむしろ浅い睡眠であるとの報告がある22).大脳皮質の覚醒は不安定な膀胱の収縮に関与しており,膀胱からの刺激が逆説的に覚醒中枢を抑制すると推察されている.夜尿は主としてノンレム睡眠(non‒rapid eye movement sleep:non‒REM sleep)の時期にみられるとの報告もある23).夜間の膀胱の蓄尿能力(膀胱容量の減少) 単一症候性NE患者では尿流動態検査(urodynamic study:UDS)は正常であるが,治療抵抗性の単一症候性NEでは下部尿路機能障害の存在を考慮すべきである24).単一症候性NEの小児では排尿筋の抑制のサーカディアンリズムに欠陥があるという報告がある25).睡眠中のUDSにおいて,夜尿の際に膀胱の収縮の頻度が増えていることが判明した26).睡眠中に排尿筋の収縮が起こって骨盤底筋の活動が亢進すれば,覚醒して排尿ができるが,骨盤底筋の活動が亢進しないと夜尿をきたしてしまう27,28).さらに,膀胱容量の減少も関連しているとされる7).夜間の尿の生成(夜間多尿) NE患者では夜間に多尿であることが病因の一つと考えられる29,30).これはおもに就眠中の123夜間多尿排尿筋過活動覚醒闘値の上昇夜間頻尿昼間尿失禁夜尿夜尿夜尿尿意切迫感「深い」,中途覚醒のない睡眠図1 夜尿症の原因(Nevéus T. Int J Urol 2017;24:174⊖182より改変)

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