2523言語聴覚士ドリルプラス 器質性構音障害
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読み解くためのKeywordKeyword27解答第2章 器質性構音障害の基礎1①先天異常,②叢生,③嚥下障害,④F12⑤腫瘍,⑥舌根沈下,⑦開咬,⑧歯間音,⑨ベックウィズ-ヴィーデマン3⑩先端,⑪後退,⑫前舌,⑬弾き音[r],⑭外科的治療無舌症・小舌症 無舌症,小舌症は極めてまれな先天異常であり,わが国では十数例しか報告がない。これらの報告によると,口唇・頰筋・舌の力のバランスが崩れ,著しい歯列弓の狭窄や叢生がみられる。また,言語障害や哺乳・嚥下障害を呈する。特に構音への影響に関して,磯野ら,住友らなど,いくつかの報告で共通する点は,無舌の場合でも口腔底の膨隆や下唇による代償により,ある程度の構音産生は可能であり,音響学的な特徴として,無舌により口腔底から口蓋までの距離が広がるため,母音のフォルマントF1は総じて高く,F2は下顎の前後運動によって代償されることがある1, 2)。巨舌症 何らかの原因により,舌の一部,あるいは全体が肥大化したものを巨舌症という。生まれつきのものとリンパ管腫や血管腫などの腫瘍により大きくなったものに大別される。高度の巨舌は,舌根沈下による窒息や呼吸障害,哺乳障害,摂食障害,言語障害などの原因となる。また,口腔内所見では巨舌に伴う歯列不正や開咬がみられやすい。治療は,基本的に舌部分切除による舌縮小術が一般的である。構音への影響に関して,松田らの報告によると,歯音,歯茎音が障害されやすく,歯間音化がみられやすい。口唇音や軟口蓋音は比較的影響を受けにくいとされている3)。ベックウィズ-ヴィーデマン症候群 巨舌を伴う先天奇形症候群である。この症候群は,臍帯ヘルニア,巨舌,巨体を三主徴とする常染色体劣性遺伝病であり,原因遺伝子座は11番染色体短腕15.5領域(11p15.5)であることがわかっている。舌小帯短縮症 舌小帯は舌と口腔底をつなぐ薄い膜で,通常,新生児では太く短く,舌の先端についている。その後,成長とともに長く引き伸ばされ,しだいに舌の中ほどへと後退していく。何らかの理由により,小帯が短く付着位置が後退しない場合,前舌の運動可動域が障害される。運動障害により哺乳や構音(特に,弾き音[r])に問題がみられる場合は,外科的治療の対象となる。しかし,軽度の運動障害があったとしても,口腔機能に影響がみられない場合は必ずしも外科的治療の対象にはならない。●舌小帯短縮症舌小帯が短く舌尖部で付着している。舌の前突時にハート型のくびれがみられる。舌小帯くびれ

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