2524発達障害のある子へのことば・コミュニケーション指導の実際 改訂第2版
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第4章 指導課題とその実際64 0-Bの言語・コミュニケーション領域の課題を全て以下に示す.本文ではその中のいくつかについて解説する.❶理 解・基礎:物を持たせると,型はめをする,中に入れる,マッチングするなど,求められていること(意味)がわかる・基礎:身ぶりや写真・シンボルを見ると何をすればよいかがわかる❷表 出・身ぶり・AAC:“一本橋コチョコチョ”のような繰り返しのある遊びにおいて,「もう1回」を要求して,手を差し出す・従命:片づけができる❸関わり・見通し:提示された量の課題に応じられる●理解課題 ▶身ぶりや写真・シンボルを見ると何をすればよいかがわかる 大人が「ねんねしよう」と言って両手を合わせて頬につけ,体を傾けてみせると,子どもは大人と同じように体を傾け,寝転がろうとする.「おてて,洗おうね」と言って手をこすり合わせてみせると,子どもは自分の手を同じようにこすり合わせたり,洗面所へ行こうとしたりする.物だけでなく大人の動作にも注目し,動作の意味がわかるようになると,子どもは,大人の動作を見るだけで次に何をするのかがわかるようになる.実際にベッドの上に連れて行ったり水を出したりしなくても,大人の身ぶりによって「寝る」「洗う」といった意味がわかるのである.このためには,日常生活において,大人が物の使い方や動作を子どもによく見せるように配慮しておくことが大切である.例えば,歯を磨くときに,何も言わず何も見せずに歯ブラシを子どもの口に入れるのではなく,歯磨きの身ぶりをしながら「歯磨きしようか」と声をかけてから歯ブラシを取りに行き,歯ブラシを子どもに見せ,「歯磨きするよ」と声をかけてから歯磨きを始めるようにするとか,子どもに自分で歯ブラシを持たせてみるというふうに,子どもが物や動作に注目しやすいように働きかけるのである.さらに,離れたところから物を取ってきて大人にわたす,大人に物を食べさせる,大人の髪の毛をブラシでとかすなど,大人の身体に対して物を扱う経験を多くさせると,大人の身ぶりの意味を理解しやすくなる.(注:身ぶりの代わりに対象となる事物の写真や,シンボルなどを使ってもよい)●表出課題  ▶“一本橋コチョコチョ”のような,くり返しのある遊びにおいて,「もう一回」を要求して,手を差し出す 子どもの手のひらを上に向けて大人に差し出す形を介助で作りながら,“一本橋コチョコチョ”を指導課題とその実際第4章音源定位:音や声に気づく/「~して」を実行する0-B

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