xviii染症)という1対1対応の診断・治療と考えがちであるが,基本的原則は仮説→検証を繰り返し論理的に考えることである.尿路感染症の診断を例にあげると「どのような症状から尿路感染症を疑うのか(仮説)」「その場合,どのような検査結果から仮説が確からしくなるか(予測)」「尿中白血球反応陰性だった場合,他に何が考えられるのか(検証)」という思考の流れがとても重要である.一方でこれらは無意識に行われることが多い.徐々に慣れてくると,記憶しやすく,楽であるため1対1対応の診断・治療が行われがちであるが,典型例から外れてしまった場合に思考停止に陥りがちである.読者の皆さんには感染症診療を1対1対応ではなく,是非,流れとして捉えてもらいたい.■フローチャート的発想感染症診療が予測→検証→予測→……の繰り返しである一方で,上述したとおりA=Bと捉えてしまうと診療の思考過程が見失われる.そのため,今回,一般的な教科書と異なりフローチャートにした理由は以下の3点である.①思考過程を可視化できる②文章での説明よりも明らかに理解しやすい③テーマの感染症の全体像を1枚のフローチャートから捉えることができる①思考過程を可視化できる無意識に行われる予測→検証を上から下に進む図で示すことで,感染症診療の思考過程を可視化した.可視化した思考過程を読みながら体験することで初学者に「予測→検証」をする習慣をつけていただけるように意識した.是非,下の結果をみるだけでなく,思考過程を体験することを楽しんでいただきたい.②文章での説明よりも明らかに理解しやすい筆者もそうであるが文章で長々と説明されるよりも図示されていたほうが明らかに理解しやすい.一方でフローチャートのなかには記載しきれない内容もあるため,次ページに詳細な説明を追記することで内容の漏れが少なくなるようにした.③テーマの感染症の全体像を1枚のフローチャートから捉えることができる一般的な教科書のように「症状」「診断」「治療」などのセクションで区切られている
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