▲第3章:頭頸部感染症▲解 説741仮説を立てるには?・咽頭痛+開口障害,扁桃偏位,項部硬直で仮説・年齢(リンパ節の退行と関連)と症状の違いで仮説2フローチャートの解説□まずは緊急度・重症度,shock vitalかを確認する.特に胸骨上窩の陥没呼吸がないかなどairwayに注意して観察する.異常を認める場合はICU入室を考慮する.急性喉頭蓋炎のrule outと気道確保を最優先する(➡CHARTへ).□扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍を示唆する問診・症状・診察所見かを確認する.・リンパ節の退行が関連しており,「5歳」が1つのマイルストーンである・開口障害をきたす感染症として破傷風と扁桃周囲膿瘍,項部硬直/斜頸をきたす疾患として髄膜炎と咽後膿瘍が重要である・扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍が疑われる川崎病に注意する(筆者は急性喉頭蓋炎が疑われた喉頭蓋浮腫+リンパ節腫大を認めた川崎病を経験した)□扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍の正確な鑑別には造影CT検査が必要である.しかし,扁桃周囲膿瘍と扁桃周囲蜂窩織炎の鑑別はとてもむずかしい印象である.筆者は耳鼻咽喉科医師にコンサルトしファイバーでの診察と併せて鑑別している.3疾患の解説 a 扁桃周囲蜂窩織炎/膿瘍1, 2)▲原因微生物:S. pyogenes が多いが,Fusobacterium属などの嫌気性菌の報告もある▲検査:溶連菌迅速検査(または咽頭培養)+血液培養検査▲治療:耳鼻咽喉科へコンサルトし必要があればドレナージ▲抗菌薬:▶溶連菌迅速検査陽性:ABPC 200 mg/kg/日 分4▶溶連菌迅速検査陰性:ABPC/SBT 300 mg/kg/日 分4▲治療期間:▶扁桃周囲蜂窩織炎:5~7日(蜂窩織炎に準じる)▶扁桃周囲膿瘍:内服含め10~14日(ドレナージを要する場合が多い) b 咽後膿瘍1)▲原因微生物:S. pyogenes が多いが,Fusobacterium属などの嫌気性菌の報告もある.S. aureusやH. influenzaeは少ないといわれている▲検査:血液培養採取(可能なら嫌気ボトルも採取)・解説部分は1仮説を立てるには,2フローチャートの解説,3疾患の解説の3つの項目に分けました.・他のCHARTの内容は番号を記載しているため,一度目を通してみてください.・3疾患の解説ではフローチャートの疾患ごとに「パッと調べられる内容」と「詳細な解説」を記載しています. 是非,フローチャートと▲解 説の2つを行き来しながら,読み進めてください.2フローチャートの解説は,フローチャートの流れの順に記載しています.上から下に読むことで思考過程をイメージできるようにしました.3疾患の解説では,フローチャートで出てきた疾患ごとに病態・症状・原因微生物・検査・治療などをまとめました.抗菌薬選択や治療期間だけでなく,成書・論文の知見,筆者の経験も含めて記載しています.2フローチャートの解説は,フローチャートの流れの順に記載しています.上から下に読むことで思考過程をイメージできるようにしました.3疾患の解説では,フローチャートで出てきた疾患ごとに病態・症状・原因微生物・検査・治療などをまとめました.抗微生物薬選択や治療期間だけでなく,成書・論文の知見,筆者の経験も含めて記載しています.xxv
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