2526小児感染症診療マスト&ベスト
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127第6章皮膚軟部組織感染症▲「皮膚(リンパ節)に膿が溜まっている」皮下膿瘍(リンパ節膿瘍)かな?と仮説▲解 説1仮説を立てるには?・超音波検査などで皮膚表面やリンパ節に膿が溜まった所見がある(CHART㊱も参照)2フローチャートの解説□まずは外科的ドレナージが可能どうかを確認する.▲外科的治療が困難な場合:内科的治療を継続して,適宜,超音波検査でフォローアップする▲外科的治療が可能な場合:追加抗菌薬が必要かを検討する□全身症状の有無,基礎疾患,月齢など追加抗菌薬が必要となる項目を確認する.▲いずれかを満たす場合:グラム染色や培養結果をもとに追加抗菌薬を検討する(3 疾患の解説参照)※グラム染色・培養陰性の場合は猫ひっかき病の可能性を考慮する.▲いずれも満たさない場合:追加抗菌薬は不要□皮下膿瘍を繰り返している,または難治性か?もし反復していたり,難治性の場合は以下の3点を確認する.①菌のentryの理由(皮膚ケア,市中MRSAの家族内伝播の有無)② 免疫不全など背景疾患の有無(好中球減少症,慢性肉芽腫症,高IgE症候群など)③術後残糸など異物の有無3疾患の解説a皮下膿瘍1~3)▲病態:毛囊炎や毛包炎などに続発,または外傷などの直接的な細菌の侵入により発症する▲症状:発赤,疼痛,熱感などの局所所見にとどまる.基本的に全身症状は乏しい▲原因微生物:▶多くはS. aureus,S. pyogenes▶免疫不全患者の場合はAspergillus属などの真菌が原因となることもある▲治療:▶外科的ドレナージが最も有効とされる3)▶次の場合は追加の抗菌薬投与が推奨される1)

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