2526小児感染症診療マスト&ベスト
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ii監修を務めました笠井です.本書を手に取っていただきありがとうございます.タイトルに惹かれたのでしょうか,たまたま平積みになっていたからでしょうか.ひょっとしたら,初期ローテで小児科研修中,小児科専門医コース修行中で,感染症は多いけどだいたい「ふんわり」,でも広すぎて整理されていなくて,何をやってよいかよくわからん.ちょっと本でも買って読んでみようと思われていますかね.でも成書とかよばれる本や洋書はいろんな意味で「重い」ですよね.だからこの本を手に取ったのですかね.この序文を読んでくださりありがとうございます.その本を買うかどうか迷っているときは,私も本屋さんで必ず序文をまず読みます.医学書は安くない買い物ですので,吟味してください.個人的な買うかどうかの判断の基準は,内容はもちろん重視しますが,誰がどの程度本気で書いたかを最重要視しています.本書の著者は大竹正悟医師です.大竹,って誰? 知る人は知る,知らない人は知らない人物です.ここだけの話,大竹医師は小児医療,小児感染症の次世代を担う逸材です(今のうちにサインをもらっておくとよいですよ).大竹医師は小児科専門医研修を終えた後に,兵庫県立こども病院感染症内科設立後2代目のフェローとなりました.初代フェローがフェローと扱ってよいのか,むしろパートナーであった伊藤雄介先生(現・兵庫県立尼崎総合医療センター小児救急集中治療科長/小児感染症内科長)でした.その伊藤先生の後釜という院内他科や他職種からのすごいプレッシャーの下,また当科は二人診療科ですので,ずっと私と一対一という圧力に耐え,コンサルからICTから飲み会から上司の暴言の尻拭いを「ワンオペ」され,3年間生き延びてきたスーパーマンです.特に感染症診療やコンサルテーションにおいては,本質的な問いを重視し,成書や文献の内容を鵜呑みにするような「コピペ」知識や診断を「キーワード」だけでする診療を許されないカンファレンスの繰り返し,そして常に自分の考えや治療には「愛と哲学」までも求めてきました.結果,私としてはどこに出しても恥ずかしくないレベルに鍛え抜いたつもりです.そう本書はその厳しいフェロー研修中に大竹医師が生き延びるために,自分でまとめた本です.ポイントは自分で生き延びるために本気で書いたというところです.情報をただただ集めただけのものではないということです.当院感染症内科では血液腫瘍を中心とした免疫不全者の感染症や集中治療管理される重症感染症を中序文―兵庫こども感染症内科の「手の内」を明かします

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