2527脳血管内治療の進歩ブラッシュアップセミナー2021
3/10

2脳血管内治療ブラッシュアップセミナー2021に沿って拡張するためにはhypercompliantなバルーン,過拡張してもフリーな空間に拡張する性質が必要である.また拡張時の圧が高いと静脈洞壁に存在するシャントポイントや栄養血管のチャンネルを閉塞してしまい,Onyxの浸透が悪くなる(図1). われわれはSHOURYU 7×7mmバルーンを使用することが多い.まず体外でバルーンの拡張を行う.適応外使用ではあるがゆっくりと2mL程度になるまで数分かけてゆっくり拡張する.これによりバルーンが引き延ばされ,体内使用時に拡張圧を下げることができる.またバルーン拡張には50%程度の造影剤を用いている.手技のポイント4バルーンカテーテルか,細径マイクロカテーテルかの選択(図2)1 どの栄養血管を選択するかに関して,まずジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)対応のバルーンカテーテル,つまりSceptor C,XC balloonが入りそうな血管を探す.適応外使用であるが,これらのバルーンカテーテルを第一選択にするのはバルーンでplugを作ることができてOnyxの浸透が容易になるからである.バルーンカテーテルをなるべく末梢まで挿入でき,かつ抜去可能な位置まで進める.本手技の適応の多くであるBorden type 1のTS-SS junction dAVFの場合,中硬膜動脈(middle meningeal artery:MMA)のpetrosquamous branchやposterior convexity branchが選択血管となる.これらは硬膜血管であるために抜去困難になる可能性が低い. バルーンカテーテルが十分シャントに近づけそうにない場合は,バルーンでplugを作ってもシャントまで十分にOnyxを浸透させるのが難しくなるので,細径マイクロカテーテルを選択する.この場合,われわれはDe-Frictorカテーテルを選択することが多い.マーカーの視認性はやや劣るが,圧倒的に末梢到達性が高く,これをシャントの直近まで挿入する.症例によってはシャントを超えて静脈洞まで誘導できる症例もしばしば経験する.図1  バルーンの拡張位置,圧による液体塞栓物質の浸透の違いa : バルーンがシャントを十分覆えていない場合,Onyxが静脈洞に漏れ,場合によっては皮質静脈に迷入するb : バルーンの拡張が強い場合,静脈洞壁にあるシャントチャンネルを過剰に圧迫し,Onyxがチャンネルを介して浸透していかない.ab図2 手技のポイントマイクロカテーテルを栄養血管のなるべく末梢,シャント近くまで誘導すること(矢印),バルーンをガイディングカテーテルで支える(二重矢印)ことが重要である.

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る