3I 硬膜動静脈瘻update2021静脈洞閉塞用バルーンの留置位置(図2,3)2 Borden type 1のTS-SS junction dAVFを例にすると,vein of Labbeの流入位置を内頚動脈撮影で確認しておき,原則vein of Labbeを閉塞させないようにバルーンを拡張する.10分程度の閉塞では大きな問題はないことが多いが,静脈閉塞による脳出血を経験することもあり,極力vein of Labbeを閉塞しない位置にバルーンを調整する.またシャントポイントとvein of Labbeが近い症例は必然的に難易度が高い症例となる. シャントが入っているポイントを跨いで静脈洞を閉塞するが,バルーンが血流で動く,また不整形な静脈洞にフィットしないことがある.ポイントは静脈洞に誘導したガイディングカテーテルをバルーン直近にまで進め,バルーンを少し引き気味にしてガイディングカテーテルに固定する.またガイディングカテーテルの操作性を上げるために内頚静脈直接穿刺で操作を行うのもよい.バルーン拡張後,外頚動脈撮影(もしくは選択的血管造影),内頚動脈撮影を行う.これでシャントが映ってこないこと,vein of Labbeなどの皮質静脈を閉塞していないことを確認する.Onyx注入時の注意点,シャント消失の判断3 Onyx注入前,マイクロカテーテルが挿入された以外の栄養血管がどのような走行でシャントまで到達しているかを再確認する.外頚動脈系であれば,中硬膜動脈,後頭動脈や上行咽頭動脈など,内頚動脈系であれば髄膜下垂体動脈幹(meningohypophyseal trunk)などのテントを養う血管の走行を確認する.TS-SS junction dAVFで最も注意しないといけないのはMMA petrosal branchである.これは側面像では他の分枝と重なって確認しCheck Point シャントポイントとvein of Labbeの位置関係を理解する.両者の位置が離れている症例が本法のよい適応であることを理解する.図3 シャント,皮質静脈,バルーンとの関係a : シャントとvein of Labbeの位置が離れている症例 シャントのみをバルーンで覆うことが可能であり,バルーンを拡張させてもvein of Labbeの還流を障害しない.b : シャントとvein of Labbeの位置が近接している症例 シャントのみをバルーンで覆うことが困難であり,バルーンを拡張させるとvein of Labbeの還流を障害する.ab
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