115II 再開通療法 update2021の径が必要であるため,吸引力が高いカテーテルほど遠位到達性や血管壁への侵襲性と相反する関係にあり,遠位動脈での閉塞では不利になる可能性がある.Combined technique4 複数機器を組み合わせれば互いの欠点を補った回収が可能,という考え方に基づく.しかし,combined techniqueを採用すべき症例については定まった見解はない.前向き無作為多施設研究としてstent retriever単独群とaspiration catheter追加群(ASTER-2 trialおよびEXPRESS)1,2)およびaspiration catheter単独群と3-Dimensional stent retriever追加群3)との比較が行われたが,有効再開通や臨床転帰,合併症(安全性)のいずれも有意差を認めなかった.つまり,複数機器にて治療を開始するdual-device strategyを全例で採用する必然性はない.むしろ,dual-device strategyはsingle-device strategyの上位互換ではなく,single-device strategyのほうが優れている局面も存在しうることも理解すべきである. Combined techniqueの考え方は,stent re-trieverを蛇行血管の遠位に誘導するためのdistal access catheterとしてaspiration catheterを使用,stent retrieverでの回収にaspiration機能を追加,aspiration catheterを遠位に誘導しstent retriever回収時の軸ずれや血管壁への侵襲を低減,の3つが主であり,さまざまなvariationが提案4‒7)されている. 通常の手技では成功が得難い症例は10%未満で,その多くは動脈硬化や動脈解離が原因で,頑強な塞栓子が原因のことは20%とされる8).したがって,典型的な心原性脳塞栓症ではsingle-device strategyを選択すべきだろう.再開通が得られない場合にはその理由を考察し,大血管や近位内頚動脈の高度蛇Check Point Combined techniqueとひとくくりにされている機器選択でも,実際の手技はさまざまである.複数の機器を使用する場合は,それぞれの性質を理解して症例ごとに応用すべきである.図1 高度蛇行症例においてcombined techniqueが有用だった一例abcd
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