2530ファブリー病UpDate改訂第2版
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[本書「B‒1ライソゾームと糖脂質」の項(p.12)の図1を参照],ライソゾーム病の病態がより複雑であることが示された.このうち,オートファジーがライソゾーム病の病態のうえで重要な役割を占めることがわかる. 次にGLA遺伝子(GLA)の特徴と酵素のプロセシングを述べる31‒33).GLAはX染色体長腕(Xq22.1)に存在し,約12 kbのサイズで7個のエクソン(exon)を有する.GLAのcDNAは31個のアミノ酸からなるシグナルペプチドと398個のアミノ酸からなるサブユニツトをコードし,全長は1.3 kbである.GLAは小胞体(endoplasmic reticulum:ER)からゴルジ体(Golgi body)で糖鎖が付き,特にマンノース6‒リン酸(mannose 6‒phosphate:M6P)を糖鎖に付けることにより,ライソゾームのER内でライソゾーム酵素がパッケージングされる.また,細胞膜でのM6P受容体(M6P receptor:M6PR)がERTでの重要な分子機構であることが明らかにされている.詳細は本書「B‒2病態生理学」の項(p.19)を参照されたい.a.臨床症状 ファブリー病の臨床症状は多彩で多臓器に及ぶことから,多くの診療科をまたいで診療する必要がある(図4).1)疼痛 小児期では,四肢疼痛,激痛,低汗症などの症状が特徴的である. 痛みは4~5歳の男女児にすでにみられ,思春期に特に強くなる.また,発熱時は焼けつくような痛み(burning pain)が特徴的であり,特に男児では不登校などの原因ともなる.2)皮膚症状,眼症状,腎症状,心症状,脳血管症状 被角血管腫(angiokeratoma),角膜混濁などが認められ,男性患者では徐々に蛋白尿を呈し,30歳前臨床症状,診断351 ファブリー病の歴史と概要図4 ファブリー病の多彩な臨床症状TIA:一過性脳虚血発作.患者の年齢により症状の発現が異なる.[Wanner C:Clin Ther 2007;29(suppl A):S2‒S5/Eng CM, et al:J Inherit Metab Dis 2007;30:184‒192]・慢性的な末梢神経痛・四肢疼痛・胃腸障害:腹痛,下痢等・発汗低下傾向・被角血管腫・渦状角膜混濁思春期無症状主要臓器の症状成人期妊娠中,生下時,小児・腎機能障害:約10~15% 蛋白尿,末期腎不全.・心機能障害:40歳以降に多い 心肥大,不整脈.・脳血管障害:40~50歳以降 脳卒中,TIA.・眼科,耳鼻科,その他全身管理思春期無症状主要臓器の症状成人期妊娠中,生下時,小児小児・思春期成人期初期症状(0~20歳)初期症状後期の重症な症状(20歳~)後期の重症な症状が出る可能性あり

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