2533術中脳脊髄モニタリングの指針2022
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2⿎ポイント術中モニタリングを真に有用な手術支援法にするためには,技術的な知識に加えて,関連する神経生理や解剖についても熟知しておくことが重要である.⿎はじめに 2011年より手術室での臨床検査は,法的な医療における有資格者が行うことになり,臨床検査技師が担当する機会が多くなった. 手術室における技術支援は生命にかかわり,術中モニタリングは必要な手術に手術支援法の1つとして組み込まれ,全国的に行われている. 術中モニタリングの目的は,脳や脊髄,末梢神経の機能を温存しつつ,治療の効果を最大に高めることにある.術中モニタリングを真に有用な手術支援法にするためには,モニタリング担当者が神経生理学的知識に加えて,解剖や生体信号の信号処理についても熟知しておくことが必要である.1)術中モニタリングのおもな依頼科 手術操作により脳や脊髄,末梢神経に障害が起こりうる分野が中心であり,脳神経外科,心臓外科,整形外科,頭頸部・耳鼻咽喉科,循環器科などがある.2)術中モニタリングの種類 モニタリングする部位で選択されるおもなモニタリング法は図1のようになる.● 大脳のモニタリング:運動誘発電位(motor evoked potential:MEP),体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential:SEP),視覚誘発電位(visual evoked potential:VEP)● 脳幹のモニタリング:MEP,脳幹聴覚誘発電位(brainstem auditory evoked potential:BAEP)● 脊髄のモニタリング:MEP,脊髄誘発電位(spinal cord evoked potential:SCEP),SEP3) 脳神経外科領域のモニタリングにおける 解剖の知識 脳神経外科で手術の対象となる脳・神経は機能の局在があり,手術操作により組織が侵襲されると機能障害が発生する可能性があり,さらには再生することがむずかしい.a)脳動脈瘤クリッピングの術中神経モニタリング 脳動脈瘤とは,脳動脈のなかでも脳底部を走行する血管にできる場合が多い瘤状の部分をいう.好発部位として中大脳動脈,内頸動脈,前交通動脈,脳底動脈などがあり,血管が分岐する場所に発生して,大きさは大部分が10 mm未満である(図2). 脳動脈瘤の原因は明らかではないが,家族性の先天的な要因もしくは高血圧,動脈硬化といった後天的要因がかかわっていると考えられる.①内頸動脈 内頸動脈は,上行大動脈から分岐する左右の総頸動脈から分岐する動脈であり,頭部の主要な血管の1つである.蝶形骨前床突起の内側で脳硬膜を貫いた後に頭蓋内で眼動脈,くも膜下腔で後交通動脈と前脈絡叢動脈が出る.その後,前大脳動脈と中大脳動脈とに分岐するが,上に行くほど細くなる.②内頸動脈の支配領域 内頸動脈は頸部では枝を出さず,眼と脳に栄養する動脈で,頭蓋腔に入ってから眼動脈を出した後に前大脳動脈と中大脳動脈に分かれる.そして,前大脳動脈と中大脳動脈に分岐する直前に後交通動脈を分岐し,後大脳動脈と連絡する.後大脳動脈は椎骨動脈系の血管で,脳底動脈が左右の後大脳動脈に分かれる.臨床神経生理学・解剖学の基礎Ⅰ

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