2533術中脳脊髄モニタリングの指針2022
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75B 各 論Ⅰ脊椎脊髄手術の術中モニタリングⅠ脊椎脊髄手術の術中モニタリング▶引用文献 1) Yamamoto N, Kobashi H, Shiba M, et al: Efficacy and Limit of in-traoperataive spinal cord monitoring using the nasopharyngeal tube electrodes. J Neurosurg Spine 13: 200-210, 2010. 2) 山本直也,,林 知美,遠藤一幸,他:経頭蓋刺激ならびに経咽頭刺激による誘発脊髄電位と誘発筋電図による術中脊髄モニタリング―疾患別,高位別の主力誘発電位の選択.臨床神経生理学 44: 128-137, 2016.(山本直也)自発筋電図(sEMG, free-run EMG)8⿎ポイント神経の侵襲による自発筋活動を記録する.リアルタイムにモニタすることができる.単独では麻痺の予見はできないので,他のモニタリング法との併用が必要である.1)概 要 自発筋電図(spontaneous electromyographic ac-tivity, free-run electro myographic activity:sEMG, free-run EMG)は,手術操作による神経への侵襲をリアルタイムで検出する運動路のモニタリングである.Tc-MEPに使用する表面(針)電極を共用するため簡便であり,手術操作間で間欠的に行うTc-MEPと異なり,リアルタイムかつ持続的に評価が可能であるため,術者へのフィードバックを常に行いながら手術を進めることができる.全症例で適応があるが,除圧や腫瘍操作など脊髄や神経根への侵襲リスクの高い症例で特に有用である.2)記録方法 手術高位に応じ,神経(髄節)支配を意識してモニタする筋を選択し,belly-tendon法により表面(針)電極の設置を行う.Tc-MEPやSEPと異なり電気刺激は不要であり,手術操作による脊髄や神経根への侵襲が刺激となり,筋電位が生じる.筋弛緩薬をはじめとした麻酔薬の影響を受けるため,TIVAを行い,筋弛緩薬の使用は控えるか麻酔導入後に拮抗薬を用いる1).3)波形解釈 正常ではsEMG activity(free-run EMG)はみられず,神経への圧迫や牽引などの侵襲が加わった際にsEMG activity(free-run EMG)が生じる.sEMG activity(free-run EMG)波形はburst型とtrain型に分けられ,burst型は多相性(multipha-sic)・非反復性で持続時間が数百msであるのに対し,train型は単相(monophasic)または多相性かつ反復性で持続時間は数分に及ぶ1, 2)(図16).これらの波形出現時には,手術手技や高100 ms100μV頸椎後縦靱帯骨化症に対してC5/6前方除圧中に左小指外転筋(ADM)に発生したsEMG(free-run EMG)(train型)図16

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