2537行為プロセス依存症の診断・治療と再発防止プログラム作成の手引き
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47第2章 インターネット・ゲーム・SNS依存 の診断・治療と再発防止プログラムインターネット・ゲーム・SNS依存を発症する原因 インターネット・ゲーム・SNS依存患者の背景に多くみられるのは,心理的,社会的問題である.多くの患者は社会生活や人間関係で問題を抱えていたり,精神障害を併存したりしている.性格のような個人的要因や周囲の環境のような社会的要因が相互に影響し,インターネット・ゲーム・SNS依存の発症につながる(表5).一般的に,実生活においてコミュニケーション問題を抱える人程,ゲーム依存への傾向がある.インターネット・ゲーム・SNS依存の脳内メカニズム①モノアミン仮説 Kimらの研究では,ビデオゲームをすると,脳のドパミン報酬系回路が活性化されるという仮説が支持された17).オンラインゲーム依存者にゲームの写真(ゲームとは無関係の写真に加えて)を見せた後,脳を機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)で解析すると,右側前頭前野眼窩部,右側側坐核,両側前部帯状回,内側前頭皮質,右背側前頭前皮質,右尾状核に健康なグループよりも活性化した状態が観察された17).つまり,オンラインゲーム依存症患者にみられた神経学的なメカニズムは,物質依存症患者のものと同様である.45インターネット・ゲーム・SNS依存発症の要因個人的要因社会的要因自己評価の低さフラストレーションへの耐性,感度若者(10歳台,若年層),中学生,高校生,独身うつ病や不安障害の前歴物質以外の依存症,物質使用障害の前歴新奇性への嗜好大胆不敵,無鉄砲な性格過度のストレス対人関係を築くのが苦手コンピュータの有無自由度の高いインターネットアクセスネグレクトまたは機能不全家族,家庭内葛藤子どもの行動や活動に無関心インターネット・ゲームの知識が豊富な友人・知人の存在幼少時からのコンピュータの所持社会からの引きこもり傾向強いられた激しい競争社会(受験など)娯楽時間や娯楽活動の欠如表5

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