2537行為プロセス依存症の診断・治療と再発防止プログラム作成の手引き
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49第2章 インターネット・ゲーム・SNS依存 の診断・治療と再発防止プログラムつなぐ部分でドパミンなどの神経伝達物質が放出され,それを受容体が受け取って,別の神経に信号が伝わると「快楽」を感じる.これが少なくなると「不快」を感じる.何もしていないときも,神経伝達物質は放出されているが,依存物を使用するとたくさん放出される.ところが,依存物を使用し過ぎると,受容体の感受性が鈍感になって,同じ神経伝達物質を受け取っても,快楽を感じにくくなる.それと同時に,依存物を使用しなくなると,受容体の感受性が悪いので,「不快」に感じてしまうようになる.それによって「負の強化(依存物をしていないと不快に感じる)」が生じるとされている.④極めて依存しやすいオンラインゲームという依存物 ゲームは,安全で簡単,手頃な値段でアクセスでき,多くの人が合法的に楽しめる.人々の多岐にわたる欲望(征服願望,性的欲求,承認欲求など)をも満たしてくれる.リアルな世界よりもバーチャルな世界のほうが,多様かつ壮大な目標(世界を征服する,勇敢な戦士になりきるなど)を達成することができる.こういったゲームの特性は,依存性と強く関連していると考えられる.過度にゲームにのめり込むメカニズムは解明されつつあり,ゲームに組み込まれた各種イベントとその達成の成否がさまざまな感情,取り分け「興奮」と「落胆」を誘発させると考えられている.報酬を得られる刺激や逆耐性現象によって,度を越えてゲームに熱中してしまうという構造は物質依存を発症させる脳の報酬系回路の長期的な変化と類似している.a.以前の典型的なゲームの特徴 1983年のファミコン発売前はゲームセンターでのゲーム(アーケードゲーム)が主流であり,ゲーム利用の場はわざわざ出かけて行かなくてはいけない場所であった.また,ゲームセンターは不良のたまり場として認識され,誰でも行けるわけではなく,学校教員の巡回で「保護・補導」されることもあった. ファミコンの登場によってゲーム利用の場は家庭という,ごく身近な場所へ移行したものの,ゲームの内容は基本的に1人プレイであり,2人でプレイする際も友人がその場にいないとできなかった.現在主流のオンラインゲームとは異なり,対人での競争(player versus player:PvP)はなく,敵であるコンピュータとの対戦(player versus environment:PvE)が中心であった. たとえば,RPGの場合,通常40~100時間程度でクリアできるものが多

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