2537行為プロセス依存症の診断・治療と再発防止プログラム作成の手引き
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51第2章 インターネット・ゲーム・SNS依存 の診断・治療と再発防止プログラムインターネット・ゲーム・SNS依存の診断 本章の冒頭で述べた通り,「ゲーム症〈障害〉」は新興依存症であり,診断基準が作られたのも最近のことであり,2019年にWHOによって採択されたICD-11において初めて疾患として「ゲーム症〈障害〉」が認められた.また,インターネット依存に関しては,DSM-5に研究中として記載があるほか,Youngによって開発されたスケールおよび各国で応用されたスケールがある.以下にそれぞれの診断基準について述べる.ICD-11のゲーム症〈障害〉の診断基準 ICD-11は国際疾病分類の11回目の改訂版である.ICDはWHOによって開発され,毎年見直されており,その診断基準は世界中で最も広く用いられ,権威,伝統がある.今回の改訂は2007年に始まり,10年以上にわたり55か国から300人以上の専門家が30の作業グループに分かれて参加し,さらに世界中の人々から1万件の提案がなされた.2019年5月25日の第72回世界保健総会において,すべてのWHO加盟国によって正式に承認され,2022年1月1日より発効となった.「ゲーム症〈障害〉」はICD-11にて初めて追加された疾病であり,「ギャンブル症〈障害〉」と並んで「嗜癖性行動による障害」に分類された(表6)18).なお,「ギャンブル症〈障害〉」はICD-10では「病的賭博」とよばれていた.インターネット依存度テスト(IAT)によるインターネット依存の診断基準 表7に示した質問項目(全20項目)のそれぞれがA~Eのいずれに当てはまるかを答え,合計点数を出す. インターネット依存への対策プログラムが次々と考えられるようになった際に「インターネット依存はどのように診断されるのか?」という点が問題になってきた.そこで,セント・ボナベンチャー大学の教授であり,インターネット依存症回復センターの所長であるYoungによって成人のインターネット依存と強迫行為の症状を評価するためにインターネット依存度テスト(In-ternet Addiction Test:IAT)が開発された.IATの目的はユーザーが自己申告したインターネット依存の重症度を測定することにある.IATは1998年に開発された後,何度もアップデートされて最新の状態に保たれてきている.312

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