2537行為プロセス依存症の診断・治療と再発防止プログラム作成の手引き
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144能不全に陥ったので,新患受付を一時中断した.同じ理由で2015年前期にはAKH全体での常習窃盗者新患予約を一部制限するに至った.なお,図1に示した人数は各期間内の常習窃盗初診患者数であって,再診患者を含む通院患者総数ではない.窃盗症は長期治療を要する慢性疾患なので,毎年の受診患者総数は,2013年までは急増し,その後2019年までは大幅な増減なく経過していた.2020年には,コロナ禍の受診自粛や受診抑制によって,多くの医療機関と同様に,AKHとKMCでも通院入院患者の急激な減少がみられた. 前述の常習窃盗初診患者の性別,年齢層別分布を図2に示した.年齢層は初診時年齢を基準とした.初診患者総数は2,111人で,内訳は,男性が664人,女性が1,447人,男女比は1:2.18と女性に多かった.20~40歳台に大きなピークがあるが,この年齢層では,男女ともに摂食障害の合併率が高い.典型的な摂食障害患者もいるが,食事と体重コントロールに関し,摂食障害の診断基準には達しないレベルの問題を抱える患者が多い.女性に関しては,60歳台に若干小さな第二のピークがみられる.この年齢層の女性では,ライフサイクル上のストレスを契機に常習窃盗に陥る例が多い.男女ともに中高齢者では,重要な依存対象の喪失,社会からの孤立,容姿の衰えや健康上の不安,老020406080100120140160180(人)2008200920102011201220132014201520162017201820192020前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期前期後期半年ごとの常習窃盗初診患者数推移図1

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