20はじめに 本章では,2019年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)によって正式に疾患と認定され,『疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第11回改訂版(International Statistical Classication of Diseases and Related Health Problems, 11th Revision:ICD-11)』に収載された「ゲーム症〈障害〉」,アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association:APA)による『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th edition:DSM-5)』における「インターネットゲーム障害(internet gaming disorder:IGD)」,そして一般に「ゲーム依存」「スマホ依存」「SNS依存」といったインターネットの問題使用となる行為(プロセス)依存(嗜癖)である「インターネット依存」について扱う. これらの疾患概念はしばしば広く巷間に取り沙汰されるものでありながら,複雑に重なり合い,ともすれば錯綜し,ややもすれば煩瑣に堕し,精密な取り扱いはいささか難しくなりがちである.弥縫の策ではあるが,ここでは本書の主題である行為(プロセス)への依存という観点から,主としてゲームという遊戯行為への依存を「ゲーム依存」,インターネット利用という種々の目的の下で行われる使用行為への依存を「インターネット依存」として考えたい.それぞれの診断基準については,該当の項にて詳述するが,ここではスマートフォン(スマホ)への依存はインターネット依存の物質的側面に重点を置き,SNS依存はインターネット依存の下位概念を捉えたものとして考え,両者をインターネット依存として概括している. 一方で,昨今,PC,スマホ,あるいは家庭用ゲーム機の別なく隆盛を極めているオンラインゲームをみれば明らかなように,ゲーム依存とインターネッインターネット・ゲーム・SNS依存 の診断・治療と再発防止プログラム第第2章章
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