Part C各 論 ― 11111/1 ウイルス性上気道炎2経過・・ 初期症状は咽頭痛や「喉のチクチク感」として現れ5),鼻閉・鼻漏が続く5).通常咽頭痛はすぐに治まり,2~3日目には鼻症状が優勢となる5).30%で咳嗽を伴う5).咳嗽・鼻汁は6歳未満で14日,6歳以上で5~7日続く1).保護者が思っている以上に長い経過となる.・・ 最も高頻度であるライノウイルス上気道炎は,1~4日間の潜伏期間後6),鼻汁・咳嗽の症状で発症する6).筆者の経験では,中耳炎や肺炎の合併がなければ発熱は72時間以内に改善する.ウイルスは発症後3週排泄する可能性がある6).3注意点・・ 発熱と鼻汁があるからといって,すぐに「ウイルス性上気道炎」と診断してはいけない.・・体系的アプローチを省略してはいけない.・・ 発熱がある場合の「ウイルス性上気道炎」の診断には,発熱フローチャートが必須である.・・ 咳嗽または鼻汁がある場合は,「咳嗽・鼻汁フローチャート」が必須である.・・ 上記を経たうえで,ほかの病名がつかなかったときだけ「ウイルス性上気道炎」と暫定的に診断できる(当然だが,確定ではない.このあと川崎病に至った例はたくさんある).4処方・・ 上気道炎に対し,明確に有効な薬剤はない.「効くかもしれない」と思える薬を1~2種類処方するのが現実的である.詳細は「B症候学」の咳嗽・鼻汁(p.70)を参照.・・ 発熱に対し,生後3か月以上であればアセトアミノフェン処方可.10~15 mg/kg/回.ただし1回500 mgを超えない.年齢に応じて坐薬,散剤,錠剤を使い分ける.剤形は保護者の意見を参考に決める.・・ 鼻汁や湿性咳嗽に対してカルボシステイン30 mg/kg/日7日分.ただし1回1500 mgを超えない.基本は分3.コクランレビューでは効果は限定的としながらも,カルボシステインの有用性が記載され189●1 呼吸器/1 ウイルス性上気道炎
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