2540小児科ですぐに戦えるホコとタテ
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序  文 よい時代になったと思う.咳には「小児の咳嗽診療ガイドライン2020(日本小児呼吸器学会)」がある.血尿には「血尿診断ガイドライン2013(日本腎臓学会,他)」があり,けいれんには「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会)」や「小児けいれん重積治療ガイドライン2017(日本小児神経学会)」がある.現在の医療はガイドラインで溢れており,これらはスマートフォン1つでどこからでも閲覧することができる.Mindsによるガイドラインのガイドラインも整備され,ガイドラインは読みやすく,わかりやすくなった.本当に便利な時代だ. しかし,われわれ小児科医は,これらのガイドラインをうまく使いこなせているのだろうか.たとえば,咳と呼吸苦で受診した6歳児を想定してみよう.「小児の咳嗽診療ガイドライン2020」で対応すると,「救急医療の必要な咳嗽フローチャート」に沿って診療を進めることになる.日本蘇生協議会またはアメリカ心臓協会の「蘇生ガイドライン」に準じた「小児二次救命処置(pediatric advanced life support: PALS)」で対応すると,第一印象から児の状態が不安定であることを見抜き,ABCDEを評価しつつ速やかに酸素投与することになる.どちらをどのタイミングで使うか,迷うかもしれない.そして,いずれのガイドラインを使ったにせよ,状態が安定すれば「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017(日本小児呼吸器学会,他)」や「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020(日本小児アレルギー学会)」などに引き継ぐことになり,結局1つのガイドラインだけで診療は完結しない.このように,実際の診療では適用可能な複数のガイドラインを取捨選択し,うまく組み合わせて,滞りのない診療を形づくらなければならない.とはいえ,ガイドラインの選択・組み合わせは,非常に複雑でむずかしい.ガイドラインには具体例が記載されておらず,また実際の診療の流れも書かれていないからだ.さらには,ガイドラインに忠実に従うと,実際の現場では非効率な動きになってしまう場面もある.結果的にガイドラインを使えていない医師は多い.ガイドラインが使えないと,その診療はどこか自信のないものになる. そういう背景もあって,「コモンなディジーズに自信をもって対応iii

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