2540小児科ですぐに戦えるホコとタテ
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本書の注意点①CRPについて C反応性蛋白(C-reactive protein: CRP)の価値は医師や施設によって様々である.「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017」1)にはCRP値で細菌性とウイルス性を明確に区別することはできないと書かれている.だが,CRPを測定することで,不要な抗菌薬処方が減ることがコクランレビューで示されており2),本書では抗菌薬の使用にあたってはCRPを参考にすることとした. カットオフ値については,たとえば3歳未満の深部重症細菌感染症の診断において,CRP 7.0 mg/dL以上は感度79%,特異度91%で,5.0 mg/dL未満は尤度比0.087,検査後確率1.9%で有用だったと報告されている3).また,CRP 4.0 mg/dL以上をカットオフとしたとき,重症細菌感染症の感度74%,特異度76%という報告もある4).一方で,入院時CRP値が3.0 mg/dL以下で,基礎疾患なく全身状態良好であれば,抗菌薬は待ってもよいという論文もある5).これらを踏まえ,本書ではCRP 4 mg/dL未満をウイルス感染,4 mg/dL以上を細菌感染の目安とした. なお,敗血症を見抜く指標としてCRPは有用ではない6).「循環障害が強く,輸液しても元気にならないが,CRPが低いので大丈夫」みたいな使い方はできない.CRPはあくまで参考所見であることを肝に銘じる.②鮮明な内容 本書では,内容を鮮明にするため「過言ではない」「考慮する」などのあいまいな表現を極力使わない(ただし,対応するガイドラインが「考慮する」という言葉を使用している場合は除く).その結果,内容が極端になっている点があることをご了承頂きたい. また,1つの疾患に対し,複数のガイドラインが存在することは多い.診断手順に幅があると主治医は迷いやすいため,本書では各種ガイドラインの整合性を取りつつ,診断に関しては1つの方法を提示し,内容が鮮明になるように心がけた.viii●本書の注意点

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