1型,2型,異常3色覚,2色覚など先天赤緑色覚異常の型判定を行うことができる検査機器第Ⅰ部●知っておきたい小児の眼の診かた・考えかた 75 cmで,かつ視線と垂直になるように表を傾ける. 被検者は色覚検査への苦手意識から緊張していることが多いため,静かで落ち着いた場所で検査を行う.被検者はしばしば正読でも誤読でもない返答をすることがあるが,検者は聞き直したりせずに淡々と進めていく.1表を読む時間は3秒以内とされているが,被検者が一生懸命読み取ろうとしている場合にはむやみに進めないほうがよい.検査前に「わからないときはわからないと答えてよい」など伝えておくと検査がスムーズにいく.自信がなく答えられない場合があるので,被検者が迷っているときは見えるところをとりあえずなぞってもらうのも一法である.その場合は変色を避けるために表に直接触れないようにし,手袋をするか筆を使うとよい. 先天色覚異常に主に用いられるのはパネルD‒15テストである(図3).木箱に固定された標準色票に似た順に15個の色票を並べていく検査であり,先天色覚異常の程度判定を行うための検査法である.色票を似た色の順に並べた場合,1つの環(色相環)になり,これを「パス」(正常と軽度~中等度の色覚異常)という.一方,強い色覚異常があると色相順に並べることができず,ある色相を行き来するので色相環を横切る形となり,「フェイル」という.横切る方向で色覚異常の型を判定できる.パネルD‒15テストは程度判定を行う検査法であるため,日常生活での色誤認を反映する.それゆえ,就職前の検査でパネルD‒15テストの結果が重要視されることが多い.16 色覚異常123ストレーション表,色覚正常者と色覚異常者で読み方が異なる表,色覚正常者に読めて色覚異常者に読めない表,色覚異常者に読めて色覚正常者に読めない表からなる. 検出表の誤読数により,色覚異常,色覚異常の疑い,色覚正常の3つに分類する.誤読数の基準は各表ごとに定められている.色覚異常もしくは色覚異常の疑いに分類される場合は眼科での精密検査を行う.誤読数が少なく色覚正常に分類される場合でも,表を読むのに時間がかかる,あるいは色覚異常者の読み方で間違うときは軽度の色覚異常の場合があり,念のため眼科での精密検査が望ましい. また,検出表とは別に1型色覚か2型色覚かを判定する分類表もある.分類表は2桁の数字で構成されており,左右どちらの数字が読めるかを多数決で1型,2型を決定する.石原色覚検査表の色覚異常の検出率は約99%と高くスクリーニングに適している.しかし,型分類の一致率は80%強でそれほど高くない.b.標準色覚検査表 第1部 先天異常用 表の構成は,デモンストレーション表4表,検出表10表,分類表5表からなる.検出表10表中,正答8表以上で色覚正常とする.分類表は左右どちらの数字が読めるかを多数決で1型,2型を決定する.標準色覚検査表の色覚異常の検出率は石原色覚検査表と同様に約99%と高い.また,型分類の一致率も約96%と高く参考になる.c.仮性同色表の検査時の注意1)照明 検査結果を左右する可能性があり,特に配慮する必要がある.照度は石原色覚検査表では500ルクス(lx)を超えないこと,標準色覚検査表では200 lx程度となっているが,そこまで厳密でなくとも,紙面を強く照らしすぎたり,反対に暗すぎる条件でなければよいと考える.また,蛍光灯を用いる場合は電球色ではなく昼光色を用いる.2)検査距離3)検査の進め方2.色相配列検査3.アノマロスコープ
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