Ⅳ 患者本人や保護者にかけるアドバイス図3 フェイルした場合に一定方向の傾きの横断線がみられ,色覚異常の型判定を行うことができる.パネルD‒15テスト(ファーンズワースパネルD‒15テスト)である.図1で示したように1型と2型の見えかたに大きな違いはないので日常診療での型判定は必須ではなく,アノマロスコープを備えて 先天色覚異常は生来からの見えかたであるため,自分の色覚異常を自覚できない.その傾向は幼少ほど強く,集団生活に入ると他人との見えかたの違いに気がついていく.日本眼科医会学校保健部の調査では,自分が色覚異常であると受診前に気づいていたのは全体の約半数であった.たとえ本人に色覚異常の診断がなされたとしても,本人の見えかたが変わるわけではなく,また色誤認をしなくなるわけでもない.以上のことを踏まえ,自身に色覚異常があるということを自覚し,色を判断するときは間違う可能性があることを常に念頭に置き慎重になるべきとアドバイスする.色だけで判断する場合は可能なら他人に聞くなどすることも助言する.いる施設は少ない.多くの眼科では仮性同色表とパネルD‒15テストを用いて色覚診療を行っている. 保護者には色について問いただしたりしないようにアドバイスする.本人の見えかたは生来のものであり,本人にとっては当たり前の見えかたであることを理解してもらう.そのうえで,将来に備えて物の色はある程度覚えておく必要があるので,色誤認はやんわりと訂正してもらう.会話の中に色の情報を付加してさりげなく色を教えていく工夫も必要である.「きれいなピンク色の桜が咲いているね」,「茶色の柴犬だね」という風にである. 色覚異常が軽度の場合は,日常生活での色誤第Ⅰ部●知っておきたい小児の眼の診かた・考えかた1241.先天色覚異常は何が問題か?2.幼少期の子どもへの接しかた3.軽度の色覚異常は問題にするべきか?
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