2547やさしい小児の眼科
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 2023年2月吉日 本書は,小児科医の皆様をはじめ,子どもの医療や教育に携わる医師,看護師,保育士など多くの方々を対象に,小児の眼について知っていただくことを目的に作成しました. 眼は,眼瞼,角膜,水晶体,硝子体,網膜,ぶどう膜(脈絡膜),強膜,視神経,外眼筋など,多種多様な組織からなる複雑な構造をしています.また,視覚には,視力だけでなく,色覚,視野,両眼視といった多くの感覚機能が含まれ,そのほかにも屈折と調節,瞳孔反応,電気生理学的反応,眼球運動など様々な機能を有します.そして,その各々に疾患や異常をきたしうることから,それに対応した数多くの検査法が存在します. 小児眼科は,疾患の対象年齢が小児期であることを除けば,眼科のほぼすべての領域を網羅しますが,小児特有の疾患も存在します.そして何より成人領域と異なるのは,視力の発達期に眼の疾患や異常が起こると,その後の長い生涯にわたって重篤な視力障害を残すことです.そのため,小児眼科では早期発見と早期治療がより重要となりますが,現時点,小児の眼のスクリーニングの機会や啓発は十分でなく,子どもの眼を守る意味でも,小児眼科医と読者の皆様の連携が不可欠です. そこで本書では,読者の皆様が小児眼科について体系的に理解しやすいよう,次の3部構成としました.「第Ⅰ部 知っておきたい小児の眼の診かた・考えかた」では,様々な視覚や眼の機能とその発達,それらが障害される疾患,眼科医以外でも行うことのできる検査,眼科で行われる検査法などについて述べています.そして「第Ⅱ部 知っておきたい小児の眼の疾患」では,眼の組織別の代表的な疾患を記載しました.いずれも解剖とその部位の機能を理解し,それらが障害されるとどのような疾患が起こるのかが平易に書かれており,解説が必要と思われる専門用語については本文中の括弧書きあるいは脚注で記載しました.最後の「第Ⅲ部 小児の眼科Q&A」では,眼科医が他領域の医師や患者・保護者から日常診療で聞かれることの多い102の質問と回答を記載しました. 本書の執筆者はいずれもわが国を代表的する小児眼科医たちです.通読しても,知りたい部分だけを読んでもわかりやすく理解いただけると思います.前述の読者対象以外の方々,たとえば,これから小児眼科を学ぼうとする眼科医や視能訓練士,看護師,学生にも,あるいは小児眼科診療の場で患児や保護者の方々に疾患や治療法を説明する際にも有用な一冊です. 本書が小児の眼を守るための一助となることを祈念いたします.iii日本小児眼科学会理事長 東 範行序 文

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