266Part B 臨床症状からのアプローチ発熱Part B|臨床症状からのアプローチⅣ1発熱のBasic & Practice1-1 発熱のBasic・・血液疾患患者で発熱を認める頻度は高い.・・多くは感染症の合併によるが,血液疾患自体により発熱をきたすことも多く,しばしば不明熱(FUO)の原因となる.・・FUOの定義は,現在では1991年にDurackらが再編したものが用いられることが多い(表B-14)1).・・血液疾患では,おもに古典的不明熱と好中球減少に伴う不明熱が問題となる.⇔⇔しかし,血液疾患でみられる好中球減少時の発熱は,3日以上の精査の結果を待つことなく治療を開始しなければならない場合が多いため,この定義を満たすことは少ない.・・発熱性好中球減少症(FN)として対応することも多い(→ 好中球減少[p.58]).・・古典的不明熱のアプローチは,発熱以外の診断の手がかりとなる症状,所見,検査所見(potentially diagnostic clues:PDCs)を見出して,可能性のある疾患を想起して必要な診断的検査を行い,診断精度を高め,診断に至る過程である2).・・臨床の現場において,知識不足に由来する診断エラーは少ないが,疾患を想起しなかったり,想起するのが遅れたりすることと,診断に必要な検査を行わないことが,エラーの原因としてかなりの頻度でみられる3,4).・・古典的不明熱の三大原因として,感染症,膠原病(炎症性疾患),腫瘍がよく知られているが,「(その疾患を知っていても)疾患を疑わなければ診断につながらない」こともあり,発熱以外の診断につな
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