iii推薦の辞本書は非血液専門医・ジェネラリストのための本である.診療には「木を診る診療」と「森を診る診療」がある.血液専門医は木を診て,ジェネラリストは森を診る.血液専門医は木を診ることに精一杯で,森を診ることに疎い.ジェネラリストはいつも森を診ていて,木のことは血液専門医に丸投げしがちである.血液専門医は専門性が高くなればなるほど,ジェネラリストの世界がわからなくなる.慢性骨髄性白血病(CML)が疑われる患者に対する関心は高いが,「ジェネラリストがどのようにCMLを疑えばよいのか」には関心は低い.ジェネラリストには血液診療の専門性がとても高くみえる.血液診療に自分がどこまで関わってよいのかよくわからない.できれば関わりたくないと思う.白血病やリンパ腫が疑われるなら,すぐに紹介しなければと思う.ジェネラリストでもある健診の担当医は,「異型リンパ球」をみたらすぐに「ひょっとして白血病?」と思ってしまう.血液専門医に紹介する際には,受診者に「白血病の疑いがあります」などの不要な情報を与えてしまう.血液専門医に紹介された患者がどのように診断され治療されるか,には思いが至らない.「木を診る診療」と「森を診る診療」との間には大きな川がある.本書は,その川に橋を架ける本である.ジェネラリストが血液専門診療に渡る橋になる本である.これ一冊で血液診療の全貌を見渡すことができる.血液診療全般に通じしかもジェネラリストである樋口敬和先生ならではの本である.血液診療に限らず,「非専門医のための○○診療」のような本や雑誌の特集号をよく見かける.執筆者はその分野の専門医である.ただ残念なことに,その内容の多くはあまりに専門的すぎる.「非専門医の
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