iv推薦の辞ための○○診療」のタイトルとは裏腹に,「専門医による専門医のための○○診療」本であることが少なくない.ジェネラリストには,そこまで専門的な知識はいらない.もっと現場で実際に役に立つわかりやすい知識がほしい.でも,執筆している専門医はジェネラリストではないので,「ジェネラリストのための○○診療」は書けないのである.本書は,血液専門医でかつジェネラリストでもある一人の著者による「ジェネラリストのための血液診療」の本である.従来の「非専門医のための○○診療」の本とは一線を画している.血液診療のBasicとPracticeがジェネラリストの視点でまとめられている.「血算を主とする血液検査所見」「血液疾患にみられる臨床症状」「代表的な血液疾患の診断と治療」のポイントがわかりやすい.具体的な症例の臨床推論が織り込まれているので楽しく読める.エビデンスレベルはとても高い.Part Aの「赤血球系・白血球系・血小板の異常,汎血球減少,血清蛋白の異常」からのアプローチは,ジェネラリストと血液専門医が共有すべき血液診療のエッセンスである.Part Bの「意識障害」「疼痛」「浮腫」からのアプローチ,Part Cの「健康診断で見つかった血液異常をどうするか?」,Part Dの「診断・治療後のフォローを依頼されたら」は,ジェネラリストと血液専門医との橋渡しそのものである.あなたが研修医であれば,さまざまな専門診療の中で「血液診療はどのようなものか」という全体像を,これ一冊でつかむことができる.あなたが専攻医で血液診療に関わるのであれば,あなたが血肉にすべき知識のほとんどはこの一冊に凝縮されている.あなたが総合診療医,一般臨床医,非血液専門医として活躍されているのであれば,「血液診療は近寄りがたい」という思いを払拭してくれる.あなたが血液専門医であれば,「ジェネラリストの視点の血液診療」を学ぶことができる.血液診療の全守備範囲の基本を学び直すこともできる.日本には,縦割りの多くの科を横断的に診ることのできる総合診
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