viiはじめにこの本は,タイトルが示すように,「非血液専門医」「ジェネラリスト」が,日常診療の現場で血液疾患をどのように考え,診断し,対応すればいいかを,理解,確認,整理して(Basic),実際に診療にあたれるように(Practical),症例を基にして(Practice),「1冊で血液疾患のエッセンスをカバーする」というコンセプトで企画されました.Part AとPart Bはそれぞれ血液所見と臨床所見からの血液疾患のアプローチとエッセンス,Part Cは健康診断で見つかった異常の対応の実際,Part Dは医療連携も含めて日常診療で遭遇しそうな状況での対応,がおもな内容で,系統的ではありませんが,全体で血液疾患の総合的かつ実践的なテキストになっています.日本血液学会のホームページによれば,2022年1月31日の時点で血液専門医数は小児科医も含めて4,450人です.かつては絶滅危惧種の朱鷺にも喩えられたことのある血液専門医です.何とか絶滅は免れたようですがまだまだ少数派で,臨床の現場で活躍されている先生方のほとんどが「非血液専門医」です.しかし,実際の臨床で,自分で血液疾患と思って血液内科を受診する患者さんはほとんどなく,血液専門医が診る血液疾患の患者さんのほぼすべてが(転院などを除いて),「非血液専門医」からの紹介による患者さんです.つまり,血液疾患のファーストタッチは「非血液専門医」が行っており,すべての診療科の医師が血液疾患患者を診る可能性があります.この本は,「臨床研修医を含む血液専門医以外の医師が総合診療的なアプローチで血液疾患を実際に診療できる」ことを目指しており,タイトルの「血液検査×総合診療」が示すように,「ジェネラリスト」や「ホスピタリスト」として活躍している,あるいはこれらを目指している,先生方を意識しています.血液疾患の診断,治療には専門性を必要とするものも多く,血液疾
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