2556脳神経小児科診断・治療マニュアル 改訂第4版
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 歩きはじめの遅れ,歩容の異常,正常歩行からの変容に分類.診察の際には必ず負荷歩行(直線歩行,つま先歩行,踵歩行,継ぎ足歩行など)を行い,動画で残し複数の目で判断する.1 歩きはじめの遅れ  1歳半を過ぎても歩かない場合,多彩な原因を考慮(表1‒34).病歴と知的レベル,筋緊張,筋力,深部腱反射,病的反射の有無などである程度判断可能.必ず経過を観察する.2 歩容の異常  歩容の異常は,痙性歩行,麻痺性歩行,鶏歩,失調性歩行,逃避歩行など(表1‒35).歩行のリズム,パターン(足の振り出し方,膝・足首の使い方),ふらつきの有無,手の振り方,骨盤の振れ,腰部の形状(前彎など),膝の挙上,下肢間隔,足の引きずり,接地点などをよく観察.評価のため動画に記録する.継続的に動画に残すと変化をとらえやすい.10歩行障害60I 症状から考えること,検査すること表1‒34  1歳半で歩かない場合 1.シ ャフリングベビー:お尻を床につけたままいざり這いで移動,筋緊張低下,足底・手掌が敏感 2.知的障害:筋緊張低下,正常筋力,言語遅滞 3.脳性麻痺:姿勢異常や筋緊張異常,深部腱反射亢進 4.先天性筋ジストロフィー:高クレアチンキナーゼ血症 5.先 天性ミオパチー:筋力低下と筋緊張低下,ミオパチー顔貌,筋量減少,関節可動域拡大・制限 6.末梢神経障害:筋緊張低下,深部腱反射消失・減弱 7.脊 髄性筋萎縮症Ⅱ型:筋線維束攣縮(舌・手指に目立つ),深部腱反射消失 8.股関節脱臼:股関節異常,開排制限 9.染色体異常・先天異常症候群10.先天代謝異常・神経変性疾患11.後 天性疾患後遺症〔急性脳炎・脳症,髄膜炎,溺水,低酸素性脳症,頭部外傷,硬膜下水腫(血腫),脳血管障害など〕12.その他

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