第2章各論疾患編▲10 不安障害図1 各機能のイメージ 123情動と行動のバランスをとる前頭葉(前頭前野)海馬①一時記憶②感覚情報・情動情報をまとめ インデックスをつける扁桃体本能的な情動を発生させる b 前頭葉(前頭前野)機能覚器が受けた五感の刺激情報は,視床へと集まり,視床を経由して扁桃体を刺激します.その外界からの刺激情報を入力された扁桃体は活性し,その情報の種類によって「受け入れ可能か否か」という感覚が生じ,最終的には本能的な「情動」を発生させます.脳内に到達するほとんどの刺激情報は,前頭葉を通ります.その情報を前頭葉(前頭前野)が海馬に渡し,海馬はアーカイブされている過去の同一または類似のエピソード記憶のインデックスと照合し,前頭葉(前頭前野)に照合結果を伝達します.参照されたインデックスを基に大脳皮質のメモリバンクに接続し,適切な処理をして,行動につなげるという役割を担います.受けとった情報に過去の記憶と合致する記憶がない(=はじめての体験である)場合には,一時的に海馬にその情報を蓄え,長期記憶とする必要があれば,海馬との相互接続を頻繁に行い,海馬はインデックスをつくり,一時的に蓄えていた情報を大脳皮質の長期記憶保存域に転送します[この際にとられる行動は,裏づけられる(参照される)過去の経験(記憶)がないため,個体の特性が直接反映された(直感的な)ものとなります].
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