第2章各論疾患編▲11 ストレス障害 加している．155ポイント・慢性疲労症候群はストレスと遺伝的脆弱性が要因．慢性疲労症候群は，内分泌系，免疫系の症候が複雑に絡み合った症候群ですが，その要因はストレスと遺伝的脆弱性です．身体的症状が中心であることから，内科を受診し様々な検査を受け，その結果「心身症」と診断されることも少なくありません．心身症の治療は，身体症状に対する対症療法と精神科治療としては自立訓練法や行動療法となります．慢性疲労症候群の治療は，薬物療法（SSRI）で改善されるものであり，心身症との鑑別は重要です．ポイント・社会の仕組みが複雑になるに従い，医療で解決できない事例が増生命の危機を極力排除するために，人間は負の記憶や経験を活かします．そのために負の記憶や経験のほうが強く記憶される仕組みになっています．現代の日常生活において，生命の危機に曝されるようなことはほぼ皆無ですから，脳にとってその仕組みは，相対的な損失や好ましくないことが，“負の記憶や経験”として強く記憶されるように変容してきています．公共交通機関で移動することを例にとると，統計的には列車にちょうど乗れて“ラッキー”と感じる経験とギリギリで間に合わずに乗り遅れて“アンラッキー”と感じる経験はほぼ同じです．ところが，人間のPitfall慢性疲労症候群と心身症の鑑別Column感情に支配された誤認が生じさせるストレスと社会問題
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