2560向精神薬処方ストラテジー マスト&ベスト
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121第1章 総論 面接・診断と治療の流れイントロダクション面接と情報の収集身体疾患を診る臨床では,患者から情報を聴取する前の状態や症状が顕著でない場合でも数値化された検査結果によって診断が導かれることも少なくありません.しかしながら精神科では,一般診療科目と違い,診断に必要な数値化される検査自体がほとんどないといってよく,医療関係者の手で集められた情報が,診断と治療にとって非常に重要です.情報収集により診断は大きく影響を受けるため,また診断によって治療が決まるという一体の関係であるため,精神科では情報収集が,「治療の決め手」となるといっても過言ではないでしょう.ではどのように医療面接を実施すれば,精度の高い診断,ひいては適切な治療方針を導き出す情報を得られるのでしょうか?一般診療科目では,症状や状態が普段生活で用いる言葉でも表されるものが多く,患者の訴えが医学的には何か想像しやすく,簡単な質問だけでも状態(病像)を把握できることがあります.しかしながら,精神科では「気分が優れない」という訴えひとつをとっても,その意味には様々な解釈が存在します.精神症状自体を患者自身が言い表せないようなことも少なくありません.また,問いかけ方,特に問診的な手法によって得られる情報では,患者が思い込んでいる情報(症状)に影響されることや,緊張や不安が強い状態で正しい判断ができず医療者の言葉に誘導されて返答したことが情報となってしまうことや,正しくない情報が混在する可能性もあり,先に述べた一般診療科目での情報取得のようにはいきません.このような背景から精神科臨床では,一般的な問診手法も用いながら,医療面接を中心にして健康状態を把握する情報を得るようにします.

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