■1 関節痛・関節炎のアプローチ第2章診断編表1 解剖学的に考える痛みの原因の鑑別そこ(痛い場所)に痛みの原因がある場合そこ(痛い場所)に痛みの原因がない場合2145分以上であればRAなどの炎症性関節炎を示唆します.(f)Time course:時間経過・日内変動ウマチ(RA)とリウマチ性多発筋痛症(PMR)ですが,RAは緩徐発症,PMRは急性発症(発症日を覚えている)が典型的です.(b)Palliative/Provocative:増悪・寛解因子安静・夜間に悪化し,労作で改善する疼痛は,RAやSpAといった炎症性関節炎を示唆します.逆に労作で悪化,安静で改善する場合は,変形性関節症(OA)などの機械的な原因(非炎症性)を考えます.(c)Quality/Quantity:性質ビリビリする,焼けるような痛みは神経絞扼症候群・ニューロパチーを考えます.鈍い痛みはRAやOAなど,動作時の鋭い痛みは腱炎・腱付着部炎などを考えます.(d)Region/Radiation/Related symptoms:場所,放散痛,随伴症状患者に痛い部位を指差してもらいます.関節炎では関節全体の痛みとして表現されますが,蜂巣炎や滑液包炎の一部(膝蓋前滑液包炎など)では疼痛の部位が限局的であったり表面のみであったりします.股関節痛の訴えであっても,指差してもらうと,大転子部である場合(滑液包炎や石灰沈着性腱炎など)があります.頸椎や肩の病変によって,上肢の疼痛が出ることや,腰椎椎間板ヘルニアによって,下肢の疼痛が生じることがあります.随伴症状は発熱,皮膚症状,眼症状,呼吸器症状,乾燥症状(口腔・眼),消化器症状,泌尿生殖器症状の有無を中心に聴取します.「関節炎+a」という切り口で鑑別疾患を狭めることができます(→「関節痛・関節炎のアプローチ」[p.26〜28]).(e)Severity:強さ疼痛の強さをvisual analogue scale(VAS)で,評価します.朝のこわばりの持続時間が30分以内であればOAなどの非炎症性疾患を,30〜・関節内・関節周囲 ■腱付着部,靱帯,腱鞘,滑液包,皮膚,筋肉・骨・神経・血管・放散痛(狭心症など)
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