■2 診断編 section 1:痛みから考える3診察のポイント診察ではおもに,痛い場所に存在する痛みの原因を診ていきます.具体的には,関節腔内(狭義の関節),関節周囲(腱付着部,腱・腱鞘,靱帯,滑液包,筋・筋膜),骨,皮膚のどこに痛みの原因があるかを探します(図1). a 視診 a 22図1 関節・関節周囲の解剖(イメージ図)疼痛を訴える箇所の視診では,皮膚の状態,肢位,腫脹の有無,発赤を確認します.衣服の上からでは,帯状疱疹や蜂巣炎を見逃してしまう可能性があり,基本的に靴下も含めて脱がすことが重要です.関節炎や屈筋腱鞘炎では,手指や肘,膝などを軽度屈曲した状態になっていることがあります.また,腫脹している関節では皺が見えなくなっていたり,発赤を認めることも多いです.左右差を含めた腫脹関節の分布を診ることも鑑別に重要です(多関節炎の分布;後述).自動関節可動域テスト(active ROM)では,患者はROM内の運動を患者自身の力で行います.手指,手首,肘,肩,股関節,膝関節,足関節の屈曲,伸展を行います〔肩は外転・外旋・内転・内旋を(→「3 肩の痛み」[p.37〜46])〕.(b)他動関節可動域テスト(passive ROM)他動関節可動域テスト(passive ROM)では,患者の四肢を検者が動かします. b 可動域(ROM)/触診(active ROMとpassive ROM) b (a)自動関節可動域テスト(active ROM)筋・筋膜腱・腱鞘腱付着部骨滑液包関節腔
元のページ ../index.html#4