2572リウマチ・膠原病診療マスト&ベスト
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■6 尿の色・量第2章診断編6section 2:障害臓器から考える165腎臓のフィジカルアセスメントとしては,尿の色や尿量があります.尿検査や血液検査だけではなく,尿を自らの眼で直接観察することも重要な診察になります.1尿の色尿の色は様々な要因により色が変化します(図1,表11)).特に赤い色では血尿,ミオグロビン尿,ヘモグロビン尿が鑑別にあがります.これらは尿検査で鑑別することが可能です(→「2 尿検査の診かた・考えかた」参照[p.251〜260]).赤い色をした尿は,患者さん自身が認識することが多いので,「血尿が出た」「黒い尿が出た」と訴えた場合には,さらなる検査を勧めます.特に,肉眼的血尿では尿路系悪性腫瘍の可能性があるため,尿路上皮癌のリスク因子がある場合には精査を行います(表2)2).また,腎生検の直後は生検の合併症としての肉眼的血尿がないかを確認することも重要です.2尿の量 a 乏尿・無尿a 尿量は非常に重要なバイタルサインです.尿量が低下している場合には,腎障害が考えられます.腎障害による血清クレアチニン(sCr)上昇は,腎機能低下より遅れて起こります(図2)3).腎障害を早期発見するには,“尿量が低下しているか”が重要です.尿量はベッドサイドで簡単に確認することができます(図3).お勧めは,チューブ内を尿で満たし,尿の滴下状態を観察することでリアルタイムに尿の産生状況を確認することです.滴下速度が遅くなっている(ほとんど滴下していない)場合には,1時間待たなくても急性腎障害(AKI)を疑うことが可能となります.「AKIの診療ガイドライン」では「RIFLE AKIN」および「KDIGO」の各基準において sCr単独よりも尿量を加えた重症度のほうが,より正確に生命予後および腎予後を反映するため,可能な限り,尿量による重症度も評価することが提案されています(推奨度2,エビデンスレベルB)(表3)4).尿の色・量Point・ 尿の色は有益な情報が満載,積極的に問診やベッドサイドで情報を入手・尿量は重要なバイタルサイン・ステロイド投与で多尿は副腎不全を疑う

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