2579新現場で役立つラクラク成長曲線
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第2章20子どもの特徴を簡潔に表すならば「成長」と「発達」となります.身長は伸び,体重は増えて,からだをうまく使いこなせるようになります.さらに知恵がつき,頼もしくなって,親やおとなと対等に会話していることにふと気がついて,私たちは驚きます.成長曲線はそのようなおとなに向かっていく変化を身体面から見守るツールの一つです.生まれたときの身長は約50 cmで,1歳のお誕生日を迎える頃には75cmになります.そして4歳になると100 cm,小学校に入る頃には120 cm,成人になれば日本人の男性は平均171 cm,女性は平均157 cmとなります.このような身長の伸びのスピードは一定ではありません.早く進むときもあれば,ゆっくり進むときもあります.しかしながらどのような人もある程度同じようなペース配分で大きくなっていきます.成長はからだに組み込まれた遺伝的なプログラムによって制御されているからです.プログラムによって身長を伸ばす仕組みが変わるのです.いろいろな病気や環境の変化でこのような成長のペース配分が乱れますので,平均的な成長の姿を知っておくことは重要なことです.このペース配分を考えるときに,成長は3つの要素(I,CとP)で構成されていると仮定すると理解しやすいでしょう.この考え方をICPモデルといい,K■■■■■■arlbergが提唱しました1).乳児期〜幼児期早期の成長(ICPモデルのI)は胎児期の延長線上にあります.精子と卵子の出会いから10か月が過ぎて,胎児は新生児として出生します.出生時の身長は約50 cmですから,直径0.1 mmの受精卵が10か月で5,000倍にもなるわけです.このような胎児期の成長のスピードの名残がInfancyの成長です.そして3〜4歳頃になると胎児期のスピードは大幅に減速します.この「I」は遺伝と栄養によって決まると考えられています.兄弟姉妹で乳児期の成長が似ていることはよく経験することですし,人工乳と母乳では体重の増え方が異なります.また何らかの理由で胎盤機能が低下すれば胎児に十分な栄養が届かずに出生体重が低下します.染色体異常(遺伝情報の異常)などの疾患でも出生体重や出生身長が低いことはよく知られています.幼児期〜学童期にかけての成長(ICPモデルのC)は1歳頃から始まって,ゆっくりと進んでいきます.この成長は思春期まで続きます.この「C」をコントロールしているのが主として成長ホルモンです.したがって成長ホルモンの分泌が生まれつき少なくてもすぐに低身長となるわけではありません.低身長が目立ってくるのは幼児期以降です.● ● ● A からだの働きからみた成長曲線  からだの病気と成長曲線A からだの働きからみた成長曲線1 ICPモデルとは何か(図1)ICPとはInfancy(乳児期),Childhood(小児期)とPuberty(思春期)の頭文字をとったものです.I(Infancy)は急激に身長が伸びる乳児期〜幼児期早期,C(Childhood)は徐々にスピードが鈍ってくる幼児期〜学童期,そしてP(Puberty)は再び伸びが著しくなる思春期を表します.それぞれの時期でどのような要素・条件が重要な役割を果たしているのかを考えていくことが病気と成長の関係を考えるときにとても役に立ちます.

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