2579新現場で役立つラクラク成長曲線
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第1章 2身長や体重などの成長曲線は,基準曲線に重ねて描くことが多いです.身長や体重の基準曲線は母子健康手帳に載っているものがよく知られています.本書で使用する基準曲線(成長曲線1)は,母子健康手帳に載っているものより少し詳しく7本の線で表されています.身体の大きさがさまざまでも,それぞれの基準曲線のカーブに沿っているかどうかで,成長の経過を確認できるようになっています.7本の基準曲線の,線と線の間をチャンネルといいます.実際に描いた成長曲線がチャンネルを横切って上向き,あるいは下向きになると,その成長曲線は不自然なパターンを示しているといえます.体重の成長曲線がチャンネルを横切って上向きになる場合には不健康な太り方,下向きになる場合には不健康なやせ方を意味します.成長曲線を描くことによっていろいろなことがわかります.からだの成長の一般的な経過を把握するには成長曲線により概観するのがよいでしょう.図11)は,胎児期から学童期,思春期を経て成人に達するまでの身長の成長経過を模式的に示したものです.身長の経過は二重S型(図1a),身長発育速度は双峰型(図1b)を示し,胎児期の終わりから乳児期にかけての急増と思春期の急増に対応しています.図中のI期は胎児期から乳児期を経て幼児期前半にいたる最初の急増期であり,II期は幼児期後半から学童期前半にかけての比較的安定した時期です.III期は思春期の急増がみられる時期,IV期はその後ゆるやかに成長停止にいたるまでの時期です.乳幼児期はI期後半からII期前半に当たり,出生したのちに身長発育速度が漸減する時期に該当することがわかります.出生時の体格は従来身長約50 cm,体重約3,000 gといわれていますが,1975(昭和50)年前後をピー図1の経過は身長に代表されるような一般的な計測値の年齢的変化ですが,からだのすべての器官がこのような成長の経過をたどるわけではありません.臓器別成長曲線としては,S■■■■■cammon(1930年)が発表した,リンパ系型,神経系型,一般型,生殖器型の4型の類型があります(図2)2).生殖型が思春期に入ってはじめて著しく成熟を示すのに対して,乳幼児期に成熟の早さが著しいのはリンパ系型と神経系型でしょう.● ● ● A 成長曲線って何? 2.年齢別の成長の特徴a.出生時の体格と新生児期の成長成長曲線ってこんなに役立つA 成長曲線って何?1 成長曲線とは横軸の年齢と,縦軸の身長や体重などの計測値と交差するところに点を打って,その点を年齢の順番に結んでいくと,成長曲線を描くことができます.からだの大きさや成長にも個人差があり,一人ひとり特有のパターンで大きくなっていきます.年齢ごと(月齢ごと)の身長や体重を記入するとその子どもの成長パターンがわかり,成長の経過を確認することができます.2 子どもの健全な成長とは1.成長の概観

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