5の程度まで成長してくるため頭の大きい体型となります.胸囲は出生時には頭囲よりやや小さいですが,その後まもなく頭囲と同等になります.その横断面は成人と異なり円形に近いものです.乳児期前半の体重は必ずしも発育基準曲線に正確に沿って成長しない場合もあります.出生体重がかなり大きいほうであっても,半年後には比較的中央に近づく場合も多いです.出生体重が小さいほうである場合も同様の傾向がみられます.また,離乳期に季節や疾病の影響を受けて一時的に増加不良や減少を示すこともあります.乳児期の成長には個人差が大きいので,継続的に観察のうえ,増加量に対し正しい評価を行わなければなりません.c.幼児期の成長幼児期では乳児期に比べて成長の早さが緩徐となり,学童期の安定した状態へと移行していきます.幼児期の皮下脂肪厚は年齢に従って漸減するため,からだつきは乳児期後半に比べ細くなります.これは活発にからだを動かし,運動機能をはじめ諸機能を高める幼児期には好都合なことです.頭部の成長は乳児期に続いて著しく,幼児期の後半では成人の約80%に達します.からだ全体に占める頭の割合は,乳児期に比べれば小さくなってはいるものの,成人のそれよりはかなり大きいです.下肢の長さの割合も成人に比べれば小さいですが徐々に大きくなります.胸囲は頭囲より次第に大きくなり,横断面に関しては左右径のほうが前後径より大きくなります.d.学童期の成長学童期は,成長の盛んな乳幼児期と成長の急進する思春期の間の移行期として,安定した状態にあります.年間身長・体重増加量は年齢によりあまり変わりません.学童期後半は次の思春期スパートの開始時期にあたります.その時期は女子のほうが早いです.また,学童期の成長を詳細に観察すると9歳前後に成長の早さのごく低い山があることがわかっています.これは思春期がはじまる前のスパートでmid-growth spurtとよばれています.e.思春期の成長思春期においては,第2成長急進期に入り急激なスパートをみせます.その時期は女子のほうが男子よりも早いのですが,発育急進年齢の時期には非常に大きな個人差があります.そのため,男子の14歳および女子の12歳は身長分布の広がりがきわめて大きくなっています.思春期の身長発育急進の時期は,年次につれて若年化しており,成熟早期化現象といわれています.思春期には第二次性徴があらわれ,乳房の発達,外陰部の変化,陰毛の出現,変声,精通などが起こります.また,精神的な変化も著しく,反抗期を経て成熟に至ります.この時期も個人差が大きいものです.からだに対するさまざまな項目の計測により成長の状態を知ることができます.計測項目を分類する目安として,以下の5つ成長の要素があげられます.a.長■■■育■■からだの長軸に沿った成長を意味します.対応する計測項目は身長,座高,下肢長などです.身長はからだの大きさをあらわす代表的な表現であるとともに,これに比べて体重などがどのようであるかというような比較の基準にもなります.座高は乳児では計りにくいのですが,仰■■■臥■位■による方法も考えられます.b.幅■■育■■頭長,頭幅,肩幅などからだの長軸と直角に交わる方向の成長を意味します.対応する計測項目は 第1章 成長曲線ってこんなに役立つ ● ● ●3.成長の要素
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