2581内分泌外来診療Q&A
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第2章 視床下部・下垂体疾患QA第2章  視床下部・下垂体疾患 図1  クッシング徴候野牛肩(脂肪沈着)近位筋の萎縮および筋力の低下皮下出血斑中心性肥満(体幹の肥満および 近位筋萎縮)赤色皮膚線状(経産婦の妊娠線と異なり皮膚菲薄化のため皮下の血管が透き通って赤く見える)顔面紅潮(頬部)満月様顔貌クッシング病はACTH産生下垂体腫瘍によって生じる疾病です.副腎皮質ホルモンのコルチゾールが過剰となることから,ACTH依存性クッシング症候群にはなりますが,単にクッシング症候群とよぶ場合は,副腎性をさすことが一般的で,下垂体性の場合は,クッシング病とよんで区別しています.クッシング徴候をみたら,本症を含むコルチゾールの過剰を疑います.クッシング徴候は,満月様顔貌,水牛様脂肪沈着,中心性肥満,伸展性赤色皮膚線条,皮膚の菲薄化,皮下出血斑,近位筋萎縮による筋力低下などがあげられます(図1).満月様顔貌は顔面に,また水牛様脂肪沈着は背面上部に,コルチゾール過剰によりそれぞれ脂肪が沈着することによって生じます.中心性肥満は,体幹部に脂肪が沈着し,腹部肥満を生じる一方,四肢の筋萎縮が生じることによるものです.単純性肥満では,通常上腕,大腿の肥満を伴いますので,見分03●クッシング病31Point❶  クッシング徴候(満月様顔貌,水牛様脂肪沈着,中心性肥満,伸展性赤色皮膚線条,皮膚の菲薄化,皮下出血斑,近位筋萎縮による筋力低下)に気づいたら本症を疑う.❷  非特異的症候として高血圧,月経異常,にきび(ざ瘡),多毛,浮腫,糖尿病を含む耐糖能異常,骨粗鬆症,色素沈着,精神障害等が本症診断のきっかけになることもある.クッシング病を疑うのはどのような場合ですか.クッシング病03

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