2高齢者における手術・周術期管理の課題高齢者の術後回復促進のために第1章 男女3男性図1 日本人の平均寿命と健康寿命の推移〔厚生労働省:令和2年版厚生労働白書―令和時代の社会保障と働き方を考える―(平成30年度・令和元年度厚生労働行政年次報告).2020(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html)〕表1 NCDに登録された消化器外科専門医115術式における性差および年齢男女比は全体で約6:4,年齢区分でみると全体の16.3%が80歳以上で,特に胃・十二指腸,小腸・結腸,直腸・肛門では80歳以上の比率が高い結果となっている(表1)3).高齢者の呼吸器,循環器,腎臓,肝臓,代謝・内分泌,脳神経,体温調節系,神経・筋肉などの主要臓器の生理機能は,機能低下のはじまる時期や程度については個人差があるものの,加齢とともに低下していく .したがって,高齢者における手術および麻酔管理では,身体的予備能の低下からリスクの発生率が高まる.加齢による,生理的・身体的.精神的変化については第2章で詳細が述べられているので,ここでは具体的な臨床的課題について述べる.また,高齢者における術中の課題および対策に関しては,第3章で詳細が述べられ,麻酔管理の課題および対策に関しては,第5章で詳細が述べ78.0769.40200420072010201333,728293,429741,487192,199101,976486,04062,72016,532128,2142,056,32581.868.056.858.466.455.259.861.654.159.018.232.043.241.633.644.840.238.445.941.080.2178.6479.1979.5570.3370.4271.1969.47(年)90858075702016(年)652001200460歳未満21.518.835.921.421.732.919.332.129.629.560歳以上65歳未満18.313.510.214.415.113.014.114.911.012.385.5984.9380.9872.1472.6572.6985.9986.3086.6187.1473.3673.6274.2174.792007201020132016(年)75歳以上80歳未満13.016.612.414.317.113.117.913.014.313.9(年)9085807570652001平均寿命健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)性別の比率(%)手術件数臓器食道胃・十二指腸小腸・結腸直腸・肛門肝胆膵脾その他計(登録期間:2011年1月1日〜2014年12月31日)〔掛地吉弘,他:National Clinical Database(消化器外科領域)Annual Report 2015.日本消化器外科学会雑誌2017;50:166-176より作成〕A 高齢者における手術・周術期管理の現状と課題女性年齢区分の比率(%)65歳以上70歳以上75歳未満70歳未満20.020.917.315.111.212.615.915.118.817.214.112.917.820.315.915.814.012.313.314.780歳以上6.418.717.718.910.113.810.78.418.316.3
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