D12a 造血幹細胞移植(HSCT) .................................... ライソゾーム病の治療表1b 酵素補充療法(ERT) ............................................ ライソゾーム病(lysosomal storage disease)の治療には1)対症療法,2)造血幹細胞移植(hemato-poietic stem cell transplantation:HSCT),3)酵素補充療法(enzyme replacement therapy:ERT),4)低分子治療薬(基質合成抑制療法〈substrate reduction therapy:SRT〉,薬理学的シャペロン療法〈pharma-cological chaperone therapy:PCT〉),5)細胞治療・遺伝子治療,6)核酸治療,7)RNA干渉(RNA in-terference:RNA i),などがある(表1).今後それぞれの分野で多くの治療法の開発が期待される. ライソゾーム病の治療法として最初に始められたのが,HSCTによる治療である.1981年Hobbsらによりハーラー症候群(Hurler syndrome)に対して施行された. 現在,ムコ多糖症(mucopolysaccharidosis:MPS)I型では2歳前であれば第1選択の治療として推奨されている.そのほか,海外ではMPS VI型,わが国ではMPS II型の多くがHSCTにより治療されている.クラッベ病(Krabbe disease),異染性脳白質ジストロフィー(metachromatic leukodystrophy:MLD)などについても中枢神経系(central nervous system:CNS)への効果が期待されている.現在までわが国では150名以上のライゾゾーム病患者がHSCTを受けている. 最近では安全な治療法としてERTが最も繁用されている.表2にERTの開発の歴史を示した.ERTの治療が成功したのも,1970年代からライソゾーム酵素(lysosomal enzyme)の構造解析ならライソゾーム病の治療分野ライソゾーム病治療の歴史一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター/遺伝病治療研究所 衞藤義勝治療抗痙攣薬,整形外科的治療,脳外科的治療,呼吸管理,栄養管理ほか2)CNS治療-酵素補充療法 薬理学的シャペロン療法(PCT),基質合成抑制療法(SRT)抗サイトカイン治療(LSD),抗オートファジー治療,抗炎症治療,酵素抗体に対する免疫抑制薬による治療など1.対症療法2.造血幹細胞移植(HSCT)3.酵素補充療法(ERT)1)通常酵素補充療法4.低分子療法5.細胞治療・遺伝子治療6.核酸治療7.RNA干渉療法CNS:central nervous system(中枢神経系),ALD:adrenoleukodystrophy(副腎白質ジストロフィー),MLD:metachromatic leukodystrophy(異染性白質ジストロフィー),MPS:mucopolysaccharidosis(ムコ多糖症).免疫不全,血液疾患,ライソゾーム病1)ゴーシェ病,ファブリー病など2) NCL 2型(酵素髄注),MPS II型(髄注またはBBB型酵素製剤) ファブリー病,ゴーシェ病などファブリー病,ポンペ病,ALD, MLD, MPS I,II,III,Ⅵ型 などファブリー病,MPS I型など(前臨床試験中)対象疾患D-1 治療の概説 │ 097治療の概説ライソゾーム病の治療D-1
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