26084つの視点でまるわかり!遺糞症・便失禁AtoZ
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1 2 分類vi遺糞症(encopresis)とは,排泄機能が自立すべき4歳以上の小児(または4歳相当の発達水準の小児)において,不適切な場所で随意的または不随意的な排便がみられる状態です.当初,“encopresis”=遺糞という用語は,通常の排便と同じ程度の量の便を漏らしてしまう状態に用いられていました.その後,“soiling”=漏便という用語も生まれ,これは少量の便を漏らしてしまい,下着に色がつく程度の状態を指します.“soiling”は便塞栓(fecal impaction)を伴う便秘による“overflow fecal incontinence”=溢流性便失禁の特徴的な症状の一つです.現在,機能性消化管疾患の国際的な診断基準として,「Rome IV診断基準」(2章1-表2-1,p.51参照)が用いられていますが,“encopresis”,“soiling”よりも中立的な用語として,“fecal incontinence”=便失禁という用語が採用されています1).本書では,特別に区別して述べたい場合を除き,“fecal incontinence”=便失禁という用語を用いることとします.便失禁には,乳幼児期から症状が継続している一次性便失禁と,いったん,トイレでの排便が自立したあとに便失禁がみられるようになる二次性便失禁があります.また,Hirschsprung病,肛門括約筋異常,二分脊椎などの器質的異常による便失禁と,器質的異常がない機能性便失禁とに分類することもできます.さらに便秘による便の滞留(fecal retention)や便塞栓がみられる便失禁と,これらがない非滞留性便失禁(nonretentive fecal incontinence)に分類定義と用語の変遷遺糞症とは

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