6.支援表13)本人の自信のなさ 教育機関では,本人の自主的に指導を求めないと,気づかれず対処されないこともある.4)卒後の支援の困難さ 学校通学時期に発見されることがなくそのまま社会に出れば,さらに支援を受ける機会がむずかしい.卒業後は就労だけでなく生活上の困難さにも直面してしまうが,本人の問題として受け取られてしまう.境界知能の特性によるもの・語彙は豊富で理解がよいが,理解は表面的である・作業スピードが遅い・数的処理が苦手なため,高度な作業がむずかしい・同僚に話しかけられても,適切に答えることが苦手である二次的に生じるもの・現実認識が甘い・主体性がなく,周りに流されやすい・課題や作業の習熟性に問題がある・自己肯定感が低い・支援を受ける(特別扱いされる)ことに抵抗がある他者からの評価・日常生活を送るうえでは支障は特にない・第一印象としては,能力の低さを感じさせない・忍耐力に欠ける・持続力や集中力に欠ける・本人が話すことに行動が伴わず,低評価を受けやすい医療機関受診例にみられる特徴,ただし境界知能だけでは受診しない・いじめの被害にあっている・不登校,ひきこもり状況にある・ゲームに没頭しやすい・身体の不調を訴えている†:Wechsler Intelligence Scale for Childrenの略で「ウイスク」とよばれる.5歳から16歳を対象として,「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリー」の4つの指標とIQ(知能指数)を数値化する検査.検査結果から,全体のIQだけでなく,「得意な部分と苦手な部分」を類推することが可能である.境界知能の人の特徴48終わってしまう. 境界知能の人は,一見しただけでは,正常知能の人々と区別がつかず,一見困っていないようにみえてしまう.そのために,診断名として取り上げられることもなく,臨床研究もほとんど行われていない.そのため,福祉サービスの制度から外れてしまっている. 図2に示したように,発達障害の特性のある人や,学業不振の子ども,不登校など不適応状態を示した人には境界知能の可能性を考えて,早めに支援につなげる必要がある.児童生徒を対象として知能を測るためのWISC検査†が活用されている.
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