図2発達性トラウマ障害は縦断面の診断概念.DSMは横断面(受診時点)の診断で,年代とともに複数の診断がなされる.〔杉山登志郎:子ども虐待という第四の発達障害.学研プラス,2007より引用,一部改変〕Ⅳ章各論-その他の精神疾患逆境的小児期体験が生涯にわたり健康とウェルビーイングに影響する仕組み〔アメリカ疾病予防管理センター(https://www.cdc.gov/violenceprevention/aces/about.html)より引用,訳〕DeathConception図1成長障害乳幼児期被虐待児の診断名の変遷Social Conditions / Local ContextGenerational Embodiment / Historical Trauma社会的,情緒的,認知的な障害Social, Emotional, & Cognitive 世代のあらわれ / 歴史的トラウマ併存症を含めて発達障害と診断ADHD精神遅滞学童・思春期Disease, Disability, and Social Problems不健康になる行動をとるAdoption of Health-risk BehaviorsImpairmentExperiences早過ぎる死早過ぎる死Early DeathEarly Death病気,障害,社会的問題逆境的小児期体験Adverse Childhood 社会 / 地域情勢低自己概念自傷行為反抗挑戦症パーソナリティー障害気分変調抑うつ・双極性障害青年期以降死受胎発達性トラウマ障害3 ストレス関連症(トラウマなど) 73このような反復的で慢性的なトラウマを体験した子どもたちは,学童期には多動性行動障害,青年期には解離性障害や非行,成人期には解離性同一性障害や薬物依存など,障害名を移り変えて生涯にわたって困難さを持続させることが知られている.これは,長期にわたるトラウマが分子レベルで神経生物学的な変化を引き起こすためだと考えられており,こうした多彩な臨床像の推移を包括的に捉えるために「発達性トラウマ障害(development trauma disorder:DTD)」
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