2622発達障害を人類学してみた
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第3章 現場としての学校物の連なりのような形だったと記憶していて思い出そうとしているのだと話してくれたことがあった。また、算数の授業では算数キットが各児童に配布されていて、そのなかに入っている小さなプラスチックのさいころを使って数の数え方や足し算を学ぶ時間があった。加藤くんは作業の最中にさいころがノートや教科書の間に挟まってしまったり、プリントを後ろの席に回すときの振り返る動きで机から叩き落としてしまったりするので、「さいころを数える」というスタートラインに立つのも一苦労だった。しかし、足し算の概念の学習が終わってプリントによるドリル形式の課題になると、加藤くんは少し変わった計算方法を編み出した。数にあわせて指で自分の頬を軽く押して、押した回数によって足し算の答えを導くのだ。これはよい方法だったらしく、計算ドリルの点数も高かった。加藤くんのように発達障害の特性によって学習面で困難が生じる子どもに対しては、当時から学校側に配慮を求める声が大きかった。啓発団体や親の会などでは、学習障害の子が作文のマス目にあわせて文字を書くのがむずかしければパソコンで打たせればよい、高度な計算の過程で自分の書いた数字が読めなくなるようなら計算機を使わせればよい、どうしてそれができないのか、という批判があった。作文を通して文章表現をしたり、算数の公式を応用して問題を解いたりする学修目標に対して、その過程の手続きに不必要に重きが置かれるせいでつまずきが発生するようなら、その過程については別のやり方があってもよいのではないか、なぜそ87 

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